アップニーク®ミニ点眼液0.1%:まぶたを上げる点眼薬(眼瞼下垂)

「鏡を見ると昔より目が小さくなった気がする」「夕方になるとまぶたが重い」。こうした変化を感じながらも、「手術というほどでもない」と受診をためらっている方は少なくありません。

アップニーク®ミニ点眼液0.1%(一般名:オキシメタゾリン塩酸塩)は、後天性眼瞼下垂(がんけんかすい)に対する点眼治療薬として国内で初めて承認された薬剤です。2026年5月の発売と同時に、たける眼科でも処方を行っています。

アップニークミニ点眼液0.1%

初診は保険診療で、眼瞼下垂の診断とほかの疾患の除外を行います。予約は必要ありません。

後天性眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは、上まぶたが正常より下がった状態です。多くは、まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の腱が加齢によって伸びたり緩んだりして起こる「腱膜性眼瞼下垂」です。ハードコンタクトレンズの長期装用が関係することもあります。

まぶたが下がると、視野の上の方が見えにくくなります。眉を無意識に上げて目を開こうとするため、頭痛や肩こりにつながることもあります。重症度は、瞳孔の中心から上まぶたの縁までの距離(MRD-1)を測って評価します。

眼瞼下垂の分類(MRD-1による重症度評価)
眼瞼下垂の重症度評価(MRD-1)

点眼でまぶたが上がる仕組み

まぶたを持ち上げる筋肉には、上眼瞼挙筋のほかに「ミュラー筋」という小さな筋肉があります。アップニーク®の有効成分オキシメタゾリンは、このミュラー筋に作用して収縮させ、まぶたを引き上げます。

アップニークの作用機序:ミュラー筋への働き
アップニーク®の作用機序

点眼後およそ15分で効果が現れはじめ、概ね8〜12時間程度持続すると報告されています。1日1回、1本使い切りタイプの点眼薬です。効果は点眼している間のもので、中止すると元の状態に戻ります。

どのくらいの効果が見込めるか

国内の第Ⅲ相試験(後天性眼瞼下垂112名対象)では、点眼2時間後のMRD-1がベースラインから平均+1.09mm改善し、プラセボ群(+0.50mm)と比較して統計学的に有意な差が認められました。米国の臨床試験でも、上方視野の改善が確認されています。

「1mm」という数字は小さく見えるかもしれませんが、MRD-1が1mm変わると上方視野は約10度広がるとされ、軽度〜中等度の眼瞼下垂の方では日常生活での見え方に関わる変化です。一方で、効果には個人差があり、すべての方に同じ改善が得られるわけではありません。当院では処方前にトライアル点眼を行い、実際の反応を確認したうえで検討していただいています。

適応となる方・ならない方

主な対象は、加齢やハードコンタクトレンズの長期使用に伴う腱膜性眼瞼下垂で、軽度から中等度の方です。手術を希望されない方、迷っている方、まず効果を体感してから判断したい方の選択肢になります。点眼後の状態を体感することで、手術後のイメージを事前に確認する使い方も報告されています。

以下のような場合は本剤の適応ではありません。

  • 急にまぶたが下がってきた(急性発症)、ものが二重に見える、瞳孔の大きさが左右で異なる、目の動きに異常がある——こうした場合は別の疾患の可能性があり、緊急の精査が必要なことがあります。まず眼科を受診してください
  • 先天性眼瞼下垂、重症筋無力症・ホルネル症候群・動眼神経麻痺などの神経筋疾患による眼瞼下垂(原因疾患の診断・治療が優先されます)
  • 眼瞼下垂の診断がない方の、整容目的のみでの使用(学会の治療指針で明確に禁じられています)

安全性と注意点

国内試験での副作用発生率は低いものでした(結膜充血:112名中1例)。一方、海外の市販後報告では、散瞳(ひとみが開く)や血圧上昇などが一定の頻度で報告されています。特に、隅角が狭い方(未治療の閉塞隅角緑内障など)では急性緑内障発作につながる恐れがあるため、処方前に前房深度の確認を行います。高度近視や心血管疾患のある方には、眼底・血圧の評価を含めた慎重な経過観察を行います。

MAO阻害薬(セレギリンなど、主にパーキンソン病の治療薬)を内服中の方には、当院では安全性を重視し原則として処方を行いません。内服中のお薬は必ず事前にお申し出ください。

費用(税込・自由診療)

項目費用(税込)
初診(保険診療)保険点数(窓口負担は保険証の割合による)
再診・診察料(処方代込)2,200円
薬剤費(30本入り1箱)4,890円
再診時の合計(目安)7,090円

※初診時は保険診療のため上記合計には含まれません。アップニーク®ミニ点眼液は薬価未収載であり、全額自己負担の自由診療です。まずは10本(10日分)からの処方も可能です。

なお、日本眼科学会・日本眼科医会の見解によると、アップニーク®による自由診療を開始した場合、眼瞼下垂の手術を保険診療で受けるには6ヶ月以上の間隔を空ける必要があるとされています。手術をご希望の可能性がある方は、事前にご相談ください。緑内障・白内障などの保険診療と同日のご希望にも対応できます(カルテを別々に作成します。受付でお申し出ください)。

当院での流れ

ステップ内容
初診(保険診療)前眼部写真によるMRD-1計測・挙筋機能の確認。眼瞼下垂の程度と原因を評価し、ほかの疾患を除外します
トライアル点眼その場で1滴点眼し、15〜30分後の反応(ミュラー筋の反応性)を確認します
処方(自由診療)効果を実感していただいたうえで検討します。10本からの処方も可能です
フォローアップ開始後1〜2週間、1ヶ月、3〜6ヶ月を目安に経過を確認します

手術との関係

アップニーク®は手術の代替ではなく、選択肢のひとつです。下垂の程度が強い場合は、点眼による約1mmの改善では視野・機能の回復が不十分なことが多く、外科的治療が優先されるのが一般的です。診察で状態を評価したうえで、点眼・手術それぞれの位置づけをご説明します。

背景・臨床試験・参考文献の詳細は、解説記事にまとめています。

まぶたの変化が気になっている方は、診察時にお声がけください。