加齢黄斑変性(AMD)

加齢黄斑変性には「滲出型」と「萎縮型」があります。萎縮型が進行した状態が「地図状萎縮(GA)」で、2025年に日本初の治療薬アイザベイ™(硝子体内注射)が承認・発売されました。ものがゆがんで見える、中心が見えにくいなどの症状は、片目ずつのセルフチェックと早めの眼科受診が大切です。

地図状萎縮(GA)と国内初の治療薬アイザベイ™(2025年承認)

地図状萎縮(GA: Geographic Atrophy)は、萎縮型加齢黄斑変性が進行した状態で、網膜の組織が地図のような形に萎縮し、視力が不可逆的に低下していきます。日本では約10万人が罹患していると推定されています。

項目内容(一次資料に基づく)
製品名/一般名アイザベイ™ 硝子体内注射液20mg/mL(アバシンカプタド ペゴルナトリウム)
適応萎縮型加齢黄斑変性における地図状萎縮(GA)の進行抑制(この適応で承認された日本初の治療薬)
承認・発売2025年9月19日承認、2025年11月12日薬価収載、2025年11月27日発売
投与方法初回から12ヶ月までは1ヶ月に1回、以降は2ヶ月に1回の硝子体内注射
位置づけの注意進行を「抑制」する治療であり、萎縮した組織や失われた視力を元に戻す治療ではありません
情報確認日2026年8月19日

当院では眼底検査・OCTにより地図状萎縮の有無や進行を評価し、治療適応の可能性がある方には、専門施設へのご紹介を含めて相談・ご説明します。滲出型(抗VEGF治療の対象)との区別も検査で行います。

一次資料:アステラス製薬 ニュースリリース(アイザベイ™発売、2025年11月27日)PMDA 医療用医薬品 情報検索(最新の添付文書)

【眼科の予防医療:ものが「ゆがんで」見えたら】
◯ 加齢黄斑変性は、「ものを見る中心」である黄斑が傷んでいく病気です。
◯ 50歳以上の方に多く、日本でも視覚障害の主要な原因のひとつです。
◯ 片目ずつ確認しないと気づきにくく、発見が遅れることがあります。
✔ 「ゆがむ」「中心が暗い」と感じたら、片目を隠して確認してみてください。
✔ OCT(光干渉断層計)・OCTアンギオグラフィーで、負担の少ない検査ができます。

黄斑(おうはん)とは

網膜の中心にある、「ものを見る」ためにいちばん大事な部分が黄斑です。

文字を読む・顔を見分ける・色を感じる、いずれも黄斑の働きです。

黄斑が傷むと、視野の中心が見えにくくなり、日常生活に大きく影響します。

眼底とは
眼底:網膜の中心にあるのが黄斑です

加齢黄斑変性とは

加齢にともなって黄斑に老廃物がたまり、黄斑が傷んでいく病気です。

大きく2つのタイプがあります。

  • 「滲出型」:黄斑の下に異常な血管(脈絡膜新生血管)が生えて、出血やむくみを起こすタイプ。進行が比較的速く、治療の中心となるタイプです。
  • 「萎縮型」:黄斑の組織がゆっくりと痩せていくタイプ。進行はゆるやかですが、定期的な経過観察が大切です。

近年は、脈絡膜(網膜の外側の血管の層)の厚みが病態に関わるという考え方(パキコロイド)も注目されており、疾患の理解は年々深まっています。

症状:「ゆがむ」「中心が暗い」

・ものがゆがんで見える(変視症):障子の桟やタイルの目地が波打って見える
・視野の真ん中が暗い・欠ける(中心暗点)
・視力の低下

両目で見ていると、もう片方の目が補ってしまい、なかなか気づけません。

ときどき片目を隠して、カレンダーや格子模様がゆがんで見えないか確認してみてください。

診断:負担の少ない画像検査

OCT(光干渉断層計)で黄斑の断面を、OCTアンギオグラフィー(OCTA)で造影剤を使わずに異常血管の有無を確認します。

散瞳(瞳を開く目薬)の負担が少ない超広角眼底撮影も併用し、すべての画像を患者さんの目の前のモニターに映してご説明します。

OCTとOCTAの模式図
OCT・OCTアンギオグラフィー:造影剤を使わずに黄斑の断面と血管を評価します

治療:この20年で大きく変わりました

かつて加齢黄斑変性は有効な治療法のない病気でしたが、2003年に光線力学療法(PDT)、2008年に抗VEGF薬の硝子体注射が使えるようになり、治療の考え方は大きく変わりました。

現在、滲出型の治療の中心は抗VEGF薬の硝子体注射です。

治療が必要な場合は、九州大学眼科および関連施設と連携して診療をすすめます。

治療後の経過観察・定期チェックは当院で継続できます。

予防と生活:できることがあります

・喫煙は、加齢黄斑変性のはっきりしたリスク因子です。禁煙をおすすめします。
・緑黄色野菜を含むバランスのよい食事が勧められています。サプリメントの適応についてもご相談ください。
・片目チェックを習慣に。「ゆがみ」に早く気づくことが、治療の選択肢を拡げます。

早期発見のために

自覚症状が出る前の変化は、眼底検査・OCTでみつかることがあります。

50歳を過ぎたら、定期的な眼底のチェックをおすすめします。