研修医終了後大学院生となり九大生体防御医学研究所での基礎免疫学の研究が一段落したころ、園田康平先生(現九大教授)の日本眼科学会評議員指名講演に関わる機会をいただき 眼免疫について多くの研究を行うことができました。
いずれの論文も、ひとつひとつの語句から様々なことが感慨深く思い出されます。2009年に発表した 眼内液(硝子体)の解析により網膜硝子体疾患を炎症の観点から論じた論文は現在でも多く引用されており、研究の意義があったことを嬉しく思います。
» Comprehensive Analysis of Inflammatory Immune Mediators in Vitreoretinal Diseases(網膜硝子体疾患の炎症性液性因子についての包括的解析)
園田先生にご指導いただいた研究は眼の免疫について多くを考えるきっかけとなり、ボストン留学から現在までわたしの眼疾患に対する考え方の基礎になっています。
[加齢黄斑変性]
昨日はアルコン社主催のセミナーにて、この数年での疾患概念の変遷を学ぶことができました。
・以前は加齢黄斑変性は全く治療法のない疾患であった。
・2003年に光線力学療法(PDT)が認可
・2008年に抗VEGF抗体硝子体注射が認可
・現在はpachychoroid neovasculopathyの概念に基づき、脈絡膜の厚さが加齢黄斑変性の病態に関わることが注目されている 等
当院では必要に応じてOCT(光干渉断層計)およびOCTアンギオグラフィー(OCTA, 光干渉断層血管撮影)を用いた検査を行い、全ての画像を患者さんの目の前のモニターに掲示し説明を行います。
直近の診療では、OCTAによる脈絡膜新生血管の描出 および深部深達OCTにより脈絡膜の厚さが観察できることも確認できました。
加齢黄斑変性について、現在は診断・治療法ともに飛躍的に進歩しました。
片目を隠した状態から「ものがゆがむ」症状で、上記疾患が発見されることがあります。
早くわかることで治療法の選択肢が拡がるものと考えられます。
九州大学眼科および同関連施設と連携し、診療を行っていきたいと思います。
気になる方はいつでもご相談ください。
どうぞよろしくお願いいたします。