緑内障と診断された方/高眼圧症を指摘されている方のうち、一部の方には禁忌薬(使えない薬・飲めない薬)があります1。
眼科以外の診療科の受診や、検査・手術の際にも、緑内障の有無を尋ねられることがあります。
実際は、ほとんどの方が問題ありません。
緑内障を指摘されている多くの方は「開放隅角緑内障」です。この場合は、多くの薬が禁忌にはなりません(薬ごとの注意はあります)。
「閉塞隅角緑内障」であるかどうかが重要です2。
(へいそくぐうかくりょくないしょう)
2019年8月の添付文書改訂で、抗コリン作用をもつ薬の禁忌は「緑内障」全体から「閉塞隅角緑内障」に限定されました1。自分の隅角のタイプを知っておき、実際に使えるかどうかは主治医・薬剤師に相談するのが基本です。
開放?閉塞?:目の中の水の通り道「隅角」の状態で判断します
目の中では、毛様体で「房水(ぼうすい)」という透明な水が作られ、虹彩(茶目)の根元にある「隅角(ぐうかく)」から排出されています。房水の産生と排出のバランスが、眼圧を決めています。



開放隅角と閉塞隅角の間の状態が、「狭隅角」です。
狭隅角も、自覚症状はありません。
隅角は、水道の排水口のような場所です。排水口がもともと狭い方では、瞳孔が開く(散瞳する)と虹彩の根元が排水口をふさぎ、房水の出口が閉じて眼圧が急に上がります。
抗コリン作用をもつ薬や交感神経刺激薬は、瞳孔を開く方向に働きます。隅角の狭い方では、急性緑内障発作の引き金になり得ます。
一方、隅角が広く開いている開放隅角緑内障では、瞳孔が開いても排水口はふさがりません。同じ薬でも発作の理屈が成り立たないため、隅角のタイプによって禁忌が変わります。
診察で説明を受けても、自分の状態を覚えておくのは大変ですね。
お薬や検査、手術等に差し支えがないか、小さなカードをお渡しして、お薬手帳に貼っていただくようにしました。


緑内障の分類
緑内障(高眼圧症)は、薬の制限に関係する分け方として、目の構造から大きく2つに分けられます。
1. 開放隅角緑内障
- 原発開放隅角緑内障(広義)
- 正常眼圧緑内障
- 高眼圧症
- 前視野緑内障
多くの方が該当します。
開放隅角緑内障では、抗コリン薬などが一律に禁忌となるわけではありません。
ただし、薬剤ごとに注意事項が異なるため、自己判断で中止・服用せず、医師または薬剤師に確認してください。
40歳以上を対象にした多治見スタディでは、緑内障全体の有病率は5.0%でした3,4。内訳は、開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)が3.9%、原発閉塞隅角緑内障が0.6%です。日本では開放隅角緑内障が閉塞隅角緑内障より多くみられます。ただし、緑内障と診断されていない狭隅角・原発閉塞隅角症疑いでも、薬の制限が必要になることがあります。
添付文書上は、開放隅角緑内障は「慎重投与(特定の背景を有する患者)」です1。使えないという意味ではなく、隅角のタイプを伝えたうえで処方してもらう、という位置づけです。
2. 閉塞隅角緑内障
- 原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma, PACG)
- 原発閉塞隅角症(primary angle closure, PAC)
- 原発閉塞隅角症疑い(primary angle closure suspect, PACS)
緑内障と診断されていなくても、閉塞隅角症や未治療の狭隅角であれば、禁忌薬の対象になります2。

気をつけることは、自分が「目がいい」(遠視傾向がある)のかどうかを知っておくことです。視力がよければ安全という意味ではなく、裸眼視力だけでは狭隅角かどうかは判断できません。
「目がいい」方は、遠視眼であることが多く、上記の狭隅角の状態になっている可能性もあります5。
(=目の中の房水の通り道が、相対的に狭くなっている)



下記の薬を使用した場合、眼圧が上がり、急性緑内障発作を起こすことがあります。
*必要に応じて、前眼部OCTを用いた経過観察をおこなっています。

細隙灯顕微鏡、隅角鏡検査にて分類します5。
そのほかに、続発緑内障(ぶどう膜炎、白内障手術・硝子体手術・角膜移植の後、ステロイド、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症にともなう血管新生)や、小児緑内障(以前の「発達緑内障」)があります5。原因ごとに扱いが異なるため、診察時にお伝えしています。
全ての緑内障について、分類をカルテに記載しています。
不明な点があれば、いつでもお尋ねください。
閉塞隅角緑内障で禁忌・注意となる薬と、緑内障に影響する薬(一覧表)
✔ 抗コリン作用・交感神経刺激作用など
以下は薬の種類の一例で、すべての製品が禁忌という意味ではありません。同じ薬効群でも成分によって扱いが異なるため、最終的には個々の製品の添付文書で判断します。
2026年9月3日時点の添付文書(PMDA掲載の電子添文)を確認して作成しました6。代表例であり、すべての薬を網羅するものではありません。
表に載っていない薬が安全とは限りません。また、表に載っている薬が必ず使えないとも限りません。
最終的な判断は、主治医・薬剤師にご相談ください。
| 薬効分類/代表的な薬剤名 | 添付文書の記載/禁忌となるタイプ | 注意すべき理由 |
|---|---|---|
| 鎮痙薬(消化性潰瘍薬・腹痛) ブスコパン(ブチルスコポラミン) | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」/開放隅角は特定の背景 → 閉塞隅角 | 抗コリン作用で散瞳し、隅角が閉じる。内視鏡検査の前投薬にも使われる |
| 排尿障害治療薬(過活動膀胱) ベシケア(ソリフェナシン)などの抗コリン薬 | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」 → 閉塞隅角 | 抗コリン作用。重大な副作用に「急性緑内障発作」の記載 |
| 抗ヒスタミン薬(第1世代) ポララミン(d-クロルフェニラミン)、ジフェンヒドラミン、クレマスチン | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」/開放隅角は特定の背景 → 閉塞隅角 | 抗コリン作用。市販の感冒薬・鼻炎薬・鎮咳薬・鎮暈薬に広く配合されている |
| 抗ヒスタミン薬(第2世代) アレグラ(フェキソフェナジン)、ザイザル(レボセチリジン)など | 緑内障に関する記載なし → 該当なし | 抗コリン作用が弱く、添付文書に緑内障の記載がない。花粉症の治療で選ばれることが多い |
| 抗パーキンソン薬(抗コリン薬) アーテン(トリヘキシフェニジル) | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」/開放隅角は特定の背景。投与中は定期的な隅角・眼圧検査が望ましい → 閉塞隅角 | 抗コリン作用。長期投与で閉塞隅角緑内障の報告 |
| 抗うつ薬(三環系) トリプタノール(アミトリプチリン) | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」/開放隅角は特定の背景 → 閉塞隅角 | 抗コリン作用 |
| 抗うつ薬(SNRI) サインバルタ(デュロキセチン) | 禁忌「コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者」/「緑内障又は眼内圧亢進のある患者」は特定の背景 → 閉塞隅角(コントロール不良) | 散瞳・眼圧上昇の報告 |
| 抗不安薬・催眠鎮静薬(ベンゾジアゼピン系) デパス(エチゾラム)など | 禁忌「急性閉塞隅角緑内障の患者」 → 急性閉塞隅角 | 弱い抗コリン作用 |
| 抗不整脈薬 リスモダン(ジソピラミド) | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」/開放隅角は特定の背景 → 閉塞隅角 | 抗コリン作用 |
| 狭心症治療薬(硝酸薬) ニトロペン、ニトロール | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」 → 閉塞隅角 | 眼圧を上昇させるおそれ |
| 気管支拡張薬(吸入抗コリン薬) スピリーバ(チオトロピウム) | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」。薬液が目に入らないよう注意 → 閉塞隅角 | 吸入薬でも目に入ると散瞳・眼圧上昇を起こしうる |
| ADHD治療薬 コンサータ(メチルフェニデート)、ストラテラ(アトモキセチン) | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」(コンサータは開放隅角が特定の背景) → 閉塞隅角 | 交感神経刺激作用による散瞳・眼圧上昇 |
| 散瞳薬(眼科の点眼薬) ミドリンP(トロピカミド・フェニレフリン) | 禁忌「緑内障及び狭隅角や前房が浅いなどの眼圧上昇の素因のある患者」 → 緑内障全般・狭隅角(閉塞隅角に限定されていない) | 検査用の散瞳薬。眼底検査の前に隅角を確認してから使用する |
| 血管収縮点眼薬 プリビナ点眼(ナファゾリン)、充血除去成分を含む市販の目薬 | 禁忌「閉塞隅角緑内障の患者」 → 閉塞隅角 | アドレナリン作用で散瞳 |
| 副腎皮質ステロイド(内服・点眼・点鼻・吸入・塗り薬) プレドニン(プレドニゾロン)など | 禁忌ではない。「緑内障の患者」は特定の背景。連用で眼圧上昇・緑内障(重大な副作用) → タイプを問わず注意 | 房水の出口の抵抗が上がる「ステロイド緑内障」。使う場合は眼圧の定期チェックを |
| トピラマート(抗てんかん薬・片頭痛予防) トピナ | 禁忌ではない。「続発性閉塞隅角緑内障を伴う急性近視」(投与開始1か月以内に多い) → 隅角が広い方でも起こりうる(続発性) | 毛様体のむくみで水晶体が前に移動し、隅角が閉じる。急な視力低下や眼痛があれば、直ちに眼科と処方医へ連絡。継続・中止は処方医の指示で |
出典:各薬剤の電子添文(PMDA、2026年9月3日確認)6。
薬の使用後に、突然の強い目の痛み、頭痛、かすみ、光のまわりに虹が見える、吐き気・嘔吐、充血などが現れた場合は、急性緑内障発作の可能性があります。すぐに眼科または救急医療機関へ連絡してください。
以前の記事で挙げていた感冒薬・鎮咳薬・鎮暈薬・低血圧治療薬なども、上の表に示した成分のいずれかを含むため、注意が必要です。該当する成分は、第1世代抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、交感神経刺激薬、ベンゾジアゼピン系です。


ロキソニン・カロナール・イブは飲めますか
「緑内障で使えない薬」で最も多く検索されている質問です。
ロキソプロフェン(ロキソニン)、アセトアミノフェン(カロナール)、イブプロフェンといった解熱鎮痛薬そのものには抗コリン作用がなく、添付文書に緑内障の記載はありません6。ロキソプロフェン単剤のロキソニン錠・ロキソニンSは、緑内障を理由とした禁忌ではありません。
市販の「ロキソニンS」「ロキソニンSプラス」「ロキソニンSプレミアム」「ロキソニンSプレミアムファイン」「カロナールA」「タイレノールA」にも、緑内障に関する注意書きはありません。
ただし「ロキソニン総合かぜ薬」は別の製品です。抗ヒスタミン成分(クレマスチン)や交感神経刺激成分(dl-メチルエフェドリン)を含み、「相談すること」の欄に「緑内障」が記載されています。
同じブランド名でも、「かぜ薬」「鼻炎薬」と名のつく製品は成分が異なります。パッケージ裏面の成分表示を確認しましょう。
*カロナール:抗コリン作用を持たないため、緑内障禁忌ではありません。
市販薬で注意が必要なもの
市販薬の説明書には「してはいけないこと」「相談すること」の欄があります。「緑内障の診断を受けた人」と書かれている場合は、抗コリン作用または交感神経刺激作用をもつ成分が含まれている可能性があります。
2026年9月時点で確認した例です。
| 市販薬の種類 | 製品例 | 説明書の区分 | 関係する成分 |
|---|---|---|---|
| 総合感冒薬(風邪薬) | パブロンゴールドA、ロキソニン総合かぜ薬 など | 相談すること「緑内障」 | クロルフェニラミン、クレマスチン(抗ヒスタミン薬)、メチルエフェドリン(交感神経刺激薬) |
| 咳止め(鎮咳去痰薬) | 新ブロン液エース など | 相談すること「緑内障」 | クロルフェニラミン、ジヒドロコデイン |
| 乗り物酔い止め(鎮暈薬) | トラベルミン | してはいけないこと「緑内障の診断を受けた人」 | ジフェンヒドラミン |
| 鼻炎薬(内服) | 第1世代抗ヒスタミン薬・プソイドエフェドリン配合の製品 | 相談すること「緑内障」 | クロルフェニラミン、プソイドエフェドリン |
| 解熱鎮痛薬(緑内障の記載がない例) | ロキソニンS、カロナールA、タイレノールA、イブA錠 など | 緑内障の記載なし | 該当なし |
| 充血除去の目薬 | ナファゾリン・テトラヒドロゾリン配合の製品 | 相談すること「緑内障」(製品による) | 血管収縮成分(散瞳作用) |
出典:各製品の一般用医薬品添付文書(2026年9月3日確認)6。
「相談すること」は「使えない」という意味ではなく、薬剤師に隅角のタイプを伝えて相談する、という意味です。開放隅角の方は、緑内障カードを見せることで、多くの場合そのまま購入できます。
閉塞隅角・狭隅角で未治療の方は、成分の異なる製品(第2世代抗ヒスタミン薬、単剤の解熱鎮痛薬など)を薬剤師と一緒に選ぶと安心です。
白内障手術・レーザー虹彩切開術を受けた後は
閉塞隅角や狭隅角であっても、レーザー虹彩切開術または白内障手術(水晶体摘出)が済んでいる場合は、緑内障禁忌薬の使用制限はないとされています2。
厚くなった水晶体が房水の流れを妨げていた場合、薄い眼内レンズに置き換わることで隅角が広がるためです。ただし薬剤や術後の隅角の状態によって判断は変わるため、主治医に確認しましょう。
また、病型は経年変化することがあるため、年1回程度の眼科検査で隅角の状態を確認しておくことが勧められています2。
急性緑内障発作の症状と、起きたときの対応
禁忌薬を使ったからといって、必ず発作が起こるわけではありません。ただし起きた場合は、数時間から数日で視神経が傷むことがあります。
薬を飲んだあと、または散瞳検査のあとに次の症状が出たら、その日のうちに眼科、夜間なら救急外来を受診しましょう。
- 片目(または両目)の強い痛み、目の奥の痛み、充血
- 激しい頭痛、吐き気・嘔吐(頭痛や胃腸の病気と間違われることがあります)
- 急なかすみ、視力低下、電灯のまわりに虹のような輪が見える(虹視症)
受診の際は、飲んだ薬の名前がわかるもの(お薬手帳や市販薬のパッケージ)をお持ちください。
費用・保険:隅角の検査と緑内障カード
隅角の判定に必要な細隙灯顕微鏡検査、隅角鏡検査、眼圧検査、前眼部OCTは、いずれも保険診療で受けられます。緑内障やその疑いに対する診療の一環として行います。
緑内障カードの発行に費用はかかりません。たける眼科に通院中の方は、次回の受診時にお申し出ください。
受診の目安
- 当日受診(緊急):薬の使用後に目の痛み・頭痛・吐き気・急なかすみが出た。
- 近日中に受診:「緑内障」「緑内障の疑い」「狭隅角」と言われたことがあるが、自分の隅角のタイプを知らない。他科から「眼科で確認してきてください」と言われた。緑内障カードを持っていない。
- 定期受診で確認:数年以上前に隅角の判定を受けたきりの方。60歳以上で遠視の方。
たける眼科(福岡市早良区高取商店街)では、緑内障の診療の中で隅角の評価と緑内障カードの発行を行っています。気になる方は、診察時になんでもお聴きになってください。

よくある質問(FAQ)
今飲んでいる薬が大丈夫か調べる方法は?
確認方法は3つあります。
(1)お薬手帳を薬局に持参し、薬剤師に「緑内障のタイプは○○です」と伝えて確認してもらう。
(2)PMDAの添付文書検索で薬剤名を調べ、「2. 禁忌」と「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」の欄に、「閉塞隅角緑内障」や「開放隅角緑内障」の記載があるか確認する。
(3)眼科で隅角のタイプを判定してもらい、緑内障カードを作る。
自己判断で薬を中止しないようにしましょう。
開放隅角緑内障なら、風邪薬を飲めますか?
開放隅角緑内障では、風邪薬に含まれる抗ヒスタミン成分などが一律に禁忌になるわけではありません。ただし製品によって注意事項が異なるため、薬剤師に「開放隅角緑内障です」と伝え、成分を確認したうえで選びましょう。閉塞隅角・狭隅角の方は、成分の異なる製品を選ぶ必要があります。
市販薬でも注意が必要ですか?
はい。総合感冒薬・鼻炎薬・咳止め・乗り物酔い止めには、第1世代抗ヒスタミン薬や交感神経刺激成分が含まれていることが多く、説明書の「してはいけないこと」「相談すること」に「緑内障」と書かれています。購入時に薬剤師・登録販売者へ隅角のタイプを伝えましょう。
ロキソニンやカロナールは緑内障でも飲めますか?
ロキソプロフェン・アセトアミノフェン・イブプロフェンの単剤は、添付文書に緑内障の記載がありません。ただし「ロキソニン総合かぜ薬」のように、同じブランド名でも抗ヒスタミン薬を含む製品は「相談すること」に緑内障が入っています。成分表示を確認しましょう。
開放隅角緑内障なのに、「緑内障」と言ったら薬を出してもらえませんでした。
2019年の添付文書改訂より前は「緑内障」全体が禁忌だったため、当時の知識で判断されることがあります。現在は、開放隅角緑内障は慎重投与です。眼科で隅角のタイプを判定した緑内障カードをお薬手帳に貼っておくと、処方側がその場で判断できます。
「緑内障の疑い」「狭隅角」と言われただけの場合は?
「開放隅角緑内障の疑い(視神経の形が気になる程度)」であれば、通常は薬の制限がありません。一方「狭隅角」「原発閉塞隅角症疑い」は、緑内障と診断されていなくても、未治療であれば禁忌薬の対象です。どちらに当たるかは眼科で確認しましょう。
白内障手術を受けていれば、もう気にしなくてよいですか?
手術で隅角が開いていれば、使用制限はなくなるとされています。ただし手術後の隅角の状態は一度眼科で確認し、緑内障カードを「手術済・制限なし」に更新しておくと安心です。
花粉症の薬は使えますか?
アレグラ(フェキソフェナジン)やザイザル(レボセチリジン)などの第2世代抗ヒスタミン薬は、添付文書に緑内障の記載がありません。市販の鼻炎薬は第1世代抗ヒスタミン薬やプソイドエフェドリンを含むことがあるため、成分を確認しましょう。
ステロイドの目薬や吸入薬も緑内障に関係しますか?
はい。ステロイドは隅角のタイプに関係なく、続けて使うと眼圧が上がる方がいます(ステロイドレスポンダー)。点眼薬で最も起こりやすく、内服・吸入・点鼻・塗り薬でも報告があります。緑内障の方がステロイドを使う場合は、処方した先生に緑内障があることを伝え、眼圧を定期的に測りましょう。
手術や内視鏡検査の前に緑内障の有無を聞かれるのはなぜですか?
内視鏡検査の前処置(ブスコパン)や麻酔の際に使う薬に、抗コリン薬が含まれるためです。閉塞隅角の方には別の薬(グルカゴンなど)が選ばれます。緑内障カードがあれば、問診がスムーズになります。
うっかり禁忌薬を飲んでしまいました。どうすればよいですか?
1回の服用で必ず発作が起こるわけではありません。症状がなくても、追加で服用する前に処方医または薬剤師へ相談してください。目の痛み・頭痛・吐き気・かすみ・虹視症などの症状がある場合は、直ちに眼科または救急外来を受診してください。


こどもの近視抑制は、将来(30年後〜)の緑内障予防にもつながると考えています。

参考文献・一次資料(確認日:2026年9月3日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課. 抗コリン作用を有する薬剤における禁忌「緑内障」等に係る添付文書の「使用上の注意」改訂について. 令和元年6月18日. https://www.pmda.go.jp/files/000229974.pdf/同. 「使用上の注意」の改訂について(102品目). 令和元年8月5日. https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000534726.pdf
- 日本眼科医会, 日本緑内障学会. 抗コリン薬と緑内障(緑内障連絡カードの解説). 2023年6月改訂. https://gankaikai.or.jp/info/glaucoma_information_card.pdf
- Iwase A, Suzuki Y, Araie M, et al. The prevalence of primary open-angle glaucoma in Japanese: the Tajimi Study. Ophthalmology. 2004;111(9):1641-1648. https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2004.03.029
- Yamamoto T, Iwase A, Araie M, et al. The Tajimi Study report 2: prevalence of primary angle closure and secondary glaucoma in a Japanese population. Ophthalmology. 2005;112(10):1661-1669. https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2005.05.012
- 日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改訂委員会. 緑内障診療ガイドライン(第5版). 日本眼科学会雑誌. 2022;126(2):85-177. https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA). 医療用医薬品・一般用医薬品の添付文書(電子添文):ブスコパン錠、ベシケア錠、ポララミン錠、アレグラ錠、ザイザル錠、アーテン錠、トリプタノール錠、サインバルタカプセル、デパス錠、リスモダンカプセル、ニトロペン舌下錠、ニトロール錠、スピリーバレスピマット、コンサータ錠、ストラテラカプセル、ミドリンP点眼液、プリビナ点眼液、プレドニン錠、トピナ錠、ロキソニンS/Sプラス/Sプレミアム/Sプレミアムファイン、ロキソニン総合かぜ薬、カロナールA、タイレノールA、パブロンゴールドA、新ブロン液エース、トラベルミン(2026年9月3日確認). https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
更新履歴
- 2026年9月3日:2019年8月の添付文書改訂(禁忌の「閉塞隅角緑内障」への限定)を明記。薬効分類別の一覧表・市販薬の表・FAQを追加。ステロイド、トピラマート、ADHD治療薬、手術後の扱いを追加。「ロキソニンの市販薬に抗ヒスタミン薬が配合されている」という旧記述を、「ロキソニン総合かぜ薬は別製品」に訂正。参考文献を緑内障診療ガイドライン第5版に更新。視野検査に関する旧記述を削除。同日、外部レビューを受けて第2版:開放隅角の表現を緩和、薬効群の注意書きと急性発作時の対応の囲みを追加、FAQ「開放隅角緑内障なら風邪薬を飲めますか」を追加、代表薬に添付文書(KEGG MEDICUS)へのリンクを追加、続発・小児緑内障の記述を簡略化。第3版:一覧表の見出しを変更、「約1割」の推計を削除、薬剤表を3列に圧縮、自己中止に関する記述を統一、最終更新日を冒頭に表示。
- 2019年11月25日:初回公開。
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