「症状」を“Googleする”:医療情報を正しくつかうために

患者さんからみて、重要なこと:
○ 現在の自分の状態
○ 今後の見通し

何かしようとしたら、何でもやり方が検索できる時代になりました。
英語で“Google”は動詞になっています。日本語では、ググる。
Ok, just google it! (ググってみて!)と使うことがあります。

このホームページも自作で、IT素人でもGoogle検索をたくさんしたらできました。
ホームページ移転の方法も、Google先生にだいぶお世話になっています。

一方、病気に関しては:
症状で検索すると思わぬ方向に行ってしまう」お話です。

わかりやすく、とても楽しい歌にされている北欧のお医者さんたちがいらっしゃいます。

目次

症状を“Googleする”功罪:医療情報と上手につきあう方法

「症状をGoogleしないで」ロックの歌詞に乗せる”警鐘”

Henrik Daniel Widegren 先生は、スウェーデンの耳鼻科医でロックバンドをされています。

https://sv.wikipedia.org/wiki/Henrik_Widegren
バンドメンバーも、皆お医者さんのようです。

(歌詞の解説)

お父さんが、自分はもうダメだと落ち込んでた。。
全ての症状が、重症につながる。

咳・診断
 → 結核
熱・赤み
 → エボラ出血熱
鼻水
 → 脳から水が漏れてきている(脳脊髄液漏出)
かゆみ・予後(今後の見通し)
 → アナフィラキシーショック・精神病
左腕がいたい
 → 心臓発作の前触れ・前兆
力がはいりづらい
 → ALS(筋萎縮性側索硬化症)
貧血があると言われた
 → 白血病
すこし落ち着きがない
 → ADHD(注意欠陥・多動性障害)

One evening, my father said: My son
I’m dying and soon I’ll be gone
But before my final farewell:
Hear me. And hear me well
Do whatever you want to do
Have a plan or roll the dice
But one thing is strictly taboo
Please, follow my advice

Never google your symptoms
That is my only prescription
You get a hundred diagnoses
And medieval prognoses
Every sign is a serious condition

If you google “cough” and “diagnosis”
You have got tuberculosis
And if you google “fever and red”
You’ve got Ebola and soon will be dead
And if you google “I’ve a runny nose”
It’s CSF. Your brain is leaking juice!
And if you google itch and prognosis:
Anaphylactic chock or psychosis

So never google your symptoms
Seldom it brings any wisdom
You want to discover
But you might uncover
That you have an extra chromosome

So this is what I heard my father say
And then he closed his eyes and passed away
The autopsy report was very clear
Death from hypochondric fear
Which is custom
When you google
Your symptoms

Never google your symptoms
The hit list is never awesome
Pain in your left arm?
Heart attack alarm!
Do you feel a little weak? Yes,
You’ve got ALS!
If you have a slight anemia
You’ve got leukemia!
Are you a little crazy?
You’ve got ADHD
So never, ever google
Your symptoms!

Never Google Your Symptoms
by Henrik Widegren
日本語タイトル「絶対症状でググるな」

“「緑内障」かもしれません”

医師はあらゆる疾患の可能性を念頭において、診療をおこなっています。

近視の強い方は、OCTで神経の状態をみることも多くあります。

OCT: 目の奥の「網膜・視神経」を断層で詳しくみる機械


健康診断などで、「視神経乳頭陥凹拡大」を指摘されて受診される方も多くいらっしゃいます。

必要があると判断されたら、視野検査をおこなうこともあります。
過剰な心配につながる可能性もあるため、その日におこなうことも多いです。

診療で、“緑内障”と単語をすこしでも出すときには、必ず以下をお話しています。

「緑内障」は、とっても幅の広いことばなんです。
緑内障かどうか診断がつけられるかどうかのところから、とっても進んでしまった緑内障まで。
でも、検索ワードにしたら「緑内障」のひとつだけですもんね。
Googleしたら、たくさん出てきます。
さらに情報を広く深く検索していくと、、

・もう失明してしまうのだろうか。
・家族の将来は。
・仕事はどうしていこうか。

など、とてもネガティブな方向に進んでしまいます。

その先に、代替医療への誘導もあるのかもしれません。

心配しなくても良いところを心配すると、損をしてしまうかなと思います。

きょうは現在の時点での〇〇さんの状態を伝えています!
「いまどんな状態にあるのか」:今後も画像を全部お見せして伝えていきます。
何でもいま聞いていってくださいね。
そのあとも何か気になったら、毎回の診察のときに聞いてください。

どんなひとが、医療情報を発信しているか

まとめサイトのこと、キュレーションサイトというそうです。
2016年には、WELQ問題という騒ぎもあったとのことでした。
匿名で発信されている医療情報も、多くあるようです。

大学・研究機関に在籍していたころは、浴びるほどのたくさんの文章に触れる日々。
論文を参照したり査読する際にも、著者や所属の情報(バックグラウンド)も重要と考えられます。

自分で医療情報・医学情報を検索する際には、
どこの先生が言ってあるかな
と、思ってみています。

医療情報をおしなべて/一般的に発信する際には、網羅的にならざるを得ません。
そのため、過度な情報にたどりついてしまうのだと思います。

患者さんからみて、重要なこと:
○ 現在の自分の状態
○ 今後の見通し

ひとりひとりにとって、必要な情報はかなり違うものでしょうか。
それぞれの情報を理解していただけたら、と思って診療をおこなっています。

Henrik Daniel Widegren先生の音楽活動

自己紹介動画(YouTube):
https://youtu.be/778IoKY9FCM

音楽配信(Spotify):
https://open.spotify.com/artist/2d6Hj6hYKdKuUx00Q60lgr?si=HvCO52cMT2WIC2hJ9sckbw

私はコロナ(I am Corona):
https://youtu.be/TTyaB41BIUk

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