緑内障の早期発見:症状をセルフチェックする方法(3つご紹介)

片目を隠して、見え方をチェックしてみてください。

緑内障は、かなり進行してから自覚症状が出てきます。
(=ほとんどの方は、視野が欠けてみえるなどの自覚症状がありません)

片目だけの視野に障害があっても、もう片方の目の視野で補っています。

来院されたほぼ全ての方に対して、瞬時に眼底(視神経)の状態をみています。
眼科で細隙灯顕微鏡を使うときに、患者さんの目に小さなレンズ(Volk社 Super Field NC®)をかざすことで眼底にピントを合わせます。

Superfield
顕微鏡のピントを、眼底に合わせます

早期発見が、とても大切です:「予防医学の重要性」

目次

緑内障の早期発見:症状をセルフチェックする方法

緑内障のリスクファクター

・近視が強い(=「目が悪い」)
・40歳以上
・血縁関係に緑内障患者がいる 等

上記のリスクファクターを考慮した上、必要に応じてOCT(光干渉断層計)およびハンフリー静的視野計によるスクリーニングを進めることがあります。

RGB光源を用いた画像解析(SLO):緑内障の早期発見に繋げられるようにもなりました。
網膜(眼底)の神経線維の厚みを評価して、ご説明します。

» 網膜疾患・緑内障:質の高い画像診断と、患者さんの利便性

40歳以上の方は「眼科ドック」を受けてみられるのも良いです。

緑内障のスクリーニング:開発の経緯

古くから、自分の緑内障かどうかを自己チェックする方法が開発されてきました(スクリーニング)。

ノイズフィールドテスト(Noise-Field Test)
昔のテレビの”砂嵐”を利用したシステム、東京大学眼科より1991年に発表1
1995年には、視野欠損・視野狭窄に対して自己チェックの有効性が報告されています2 。

Frequency Doubling Technology(FDT)
緑内障のスクリーニング方法として、米国ボルチモアのJohns Hopkins大学から発表3
医療機器を用いて、縞模様のコントラスト感度を測定。
手持ちのデジタルデバイスをもちいて、簡易的におこなうこともできます(下記)。

鈴木式アイチェックチャート
岩手県の眼科医鈴木武敏先生が開発されたチャート4
2006年には東京医科歯科大学で有効性が検証されています5

クロックチャート
近畿大学眼科の松本長太先生の研究グループによって開発されたシステム6
片目を隠さずに、視野欠損・視野狭窄の自己チェックをすることができます(CLOCK CHART binocular edition (CCBE))。
有効性につき、2019.11月に最新の知見がアップデートされています7

緑内障のセルフチェック:実際の方法(3つご紹介)

デジタルデバイス(パソコンのディスプレイ・タブレット・スマホ)を用いて、
自分で緑内障の症状をチェックできるものがあります。
ファイザー社の便利なウェブサイトを、ご紹介します(無料でできます)。

(1) ノイズフィールドチェック

「簡易版ノイズフィールドチェック(セルフチェック)」

https://www.ntg40.jp/Selfcheck

(2) クロックチャート

「回して確認、「視野の欠け」チェック」

https://www.ntg40.jp/Selfcheck/Howtouse02

(3) Frequency Doubling Technology (FDT) 簡易版

簡易版FDTチェック

「音あわせ視野チェック!のやり方」

https://www.ntg40.jp/selfcheck/howtouse03.html

以上は視野欠損・視野狭窄に対しての自己チェック「簡易検査」です。
少しでも異常を感じられたら、眼科へご相談ください。

(参考)

1. Shirato, S., Adachi, M., Hara, T., 1991. Subjective detection of visual field defects using home TV set. Jpn. J. Ophthalmol. 35, 273–281.
2. Adachi, M., Shirato, S., 1994. The usefulness of the Noise-Field Test as a screening method for visual field defects. Jpn. J. Ophthalmol. 38, 392–399.
3. Quigley, H.A., 1998. Identification of glaucoma-related visual field abnormality with the screening protocol of frequency doubling technology. Am. J. Ophthalmol. 125, 819–829. https://doi.org/10.1016/s0002-9394(98)00046-4
4. 鈴木武敏:鈴木式アイチェックチャート. 視覚の科学 22:133-135, 2001.
5. Murai, H., Kiyosawa, M., Mochizuki, M., Suzuki, T., 2006. Sensitivity and Specificity of New Eye Check Chart for Neuro-ophthalmological Diseases. Jpn J Ophthalmol 50, 383–386. https://doi.org/10.1007/s10384-006-0329-x
6. Matsumoto, C., Eura, M., Okuyama, S., Takada, S., Arimura-Koike, E., Hashimoto, S., Tanabe, F., Shimomura, Y., 2015. CLOCK CHART®: a novel multi-stimulus self-check visual field screener. Jpn J Ophthalmol 59, 187–193. https://doi.org/10.1007/s10384-014-0368-7
7. Ishibashi, M., Matsumoto, C., Hashimoto, S., Eura, M., Okuyama, S., Nomoto, H., Tanabe, F., Kayazawa, T., Numata, T., Kusaka, S., 2019. Utility of CLOCK CHART binocular edition for self-checking the binocular visual field in patients with glaucoma. Br J Ophthalmol 103, 1672–1676. https://doi.org/10.1136/bjophthalmol-2018-312845

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