黒目が黒い理由:
透き通った透明な「角膜」の後ろに茶目(ちゃめ)とも呼ばれる「虹彩」「瞳孔」があるため。

角膜は人体で唯一血管のない組織ですが、免疫反応は強くあります。
免疫を担当する細胞が存在するためです。
ものを綺麗にみるためには、角膜の透明性の維持が“必要条件”です。


黒目に白い点がある:その理由、眼科での判断・対処

鏡で自分の黒目をみると、白い点がみえることがあります。
充血や痛み、ゴロゴロする症状、違和感を伴っている場合も多いです。
痛くないこともあります。
コンタクトレンズ装用のかたが、異変に気づいて来院される機会も多いです。
多くの場合その本態は、「角膜への炎症細胞浸潤」:
何らかの炎症が起こって、透明な角膜へ細胞がかけつけている状態です。
眼科医は細隙灯顕微鏡/スリットランプ顕微鏡を用いて、
黒目の白い点(細胞浸潤)がある“場所”をみます。
角膜のうち
1. 中心部に近い
2. 周辺部(黒目のふちの部分)
どちらかで、炎症の性質の違いを想定します。
角膜の炎症は、治るときに透明性を戻していることが とても大事です。
急を要することもあります。
黒目の中心近くが白いか、周りが白いか:角膜の免疫反応の違い

角膜の周辺部(角膜輪部)は、免疫反応を起こしやすい部分です。
抗原提示細胞(Antigen presenting cells, APC)がたくさん存在し、炎症に備えています。
ひとたび炎症が起きると、T細胞/B細胞が集まってきて細胞集団(クラスター)を形成します。
1. (中心部に近い炎症)の場合、免疫反応を逃れた「微生物による炎症」
2. (角膜周辺部の炎症)の場合、自分の角膜を攻撃してしまう「自己免疫性の炎症」
と推測します。
1. 微生物による炎症(角膜感染症)
多くの場合、細菌(ばい菌):抗生剤の点眼・内服、また場合によっては点滴を必要とすることもあります。
真菌(カビなど)、アカントアメーバでは、とてもひどい状態になってしまうこともあります。
微生物の活動性が止まったと判断されたときに、ステロイド点眼で細胞浸潤を減少させることを考慮します。
白い点が消えて、透明性が戻ることを最重要視します。
グラム染色を行って、菌を同定することもできます。

2. 自己免疫性(非感染性)の炎症
角膜感染症でないことを確認した上で、早めにステロイド点眼をおこないます。
点眼で治ってしまうことも多いです。
短期的には、眼圧上昇の副作用に留意します。
リウマチに伴う角膜周辺部潰瘍である場合には、ステロイドの全身投与が必要となることもあります。
ステロイドは感染症を悪化させます。
そのため、1.か2.のいずれかの判断が重要となります。
なるべく早くの眼科受診が必要です。
