目を開けたまま10秒間瞬きをせずにいられないこと、必ずしもドライアイだというわけではありません。
でも、ドライアイの可能性を示す一つのきっかけにはなります。
「ドライアイ」日本眼科学会の現在の診断基準:
・涙液層破壊時間(BUT)が5秒以下であり、かつ
・眼不快感や視機能異常などの自覚症状がある場合
ドライアイの診断となります。
少しわかりづらいので、以下に記載しました。
涙液層(涙の膜)の安定性:
目を開けたまま瞬きをしないでいられる時間は、涙の膜がどれだけ安定しているかと関係があります。涙の膜が安定していると、瞬きの間隔が長くなると考えられます。
涙液層破壊時間(Tear Break-Up Time, BUT):
医師が行う検査の一つに、瞬きをしてから涙の膜が壊れるまでの時間を測るものがあります。この時間が5秒未満だと、ドライアイの可能性が高くなります。
10秒間瞬きをせずにいられること=涙液層が安定している
と考えられます。
総合的な診断:
ドライアイの診断は、症状や複数の検査結果を総合的に見ておこないます。
瞬きの頻度やパターン:
瞬きの回数や仕方も大切な情報ですが、これも診断の一部分にすぎません。
瞬きの頻度やパターンには個人差があり、ドライアイでなくても人によって違いがあります。
その他の要因/免疫学より:
目を開けたまま瞬きをしないでいられる時間は、周りの環境や見ている物、その人の”体質”などによっても変わってきます。
ドライアイの疾患概念は、眼の免疫学に含まれます。
眼表面の炎症に関連します。
ドライアイの名称から簡単な印象を受けるかもしれません。
涙液層の安定性は、複雑な事象が絡んだ結果と捉えられます。
まとめ
10秒間瞬きをせずにいられないことは、ドライアイの可能性を示唆するかもしれません。
でもそれだけでドライアイと診断することはできません。
正確な診断には、眼の総合的な判断が必要となります。
様々な検査を行い、症状も併せて評価することで、適切な診断ができます。
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