「花粉症の予防治療(初期療法)」のエビデンス

最新のアレルギー性結膜疾患ガイドラインにても、抗アレルギー薬点眼での花粉症予防治療のエビデンスは記載されていませんでした。

この数日は、明らかなアレルギー性結膜炎の所見を持つ方が増えてきているように思います。

「診療ガイドライン」に基づいて、様々な診療がおこなわれています。

目次

「花粉症の予防治療(初期療法)」のエビデンス

診療ガイドラインとは

診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書。

公益財団法人 日本医療機能評価機構

診療ガイドラインは、科学的根拠のシステマティックレビューと、複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて患者ケアを最適化するための推奨を含む文書である。

米国医学研究所(The Institute of Medicine: IOM)
米国科学アカデミー(National Academy of Medicine: NAM)

National Academy of Medicine
Home - National Academy of Medicine NAM Elects 100 New MembersMeet the Class of 2021! Featured Vaccination in the Latinx/Hispanic CommunityA new video features NAM members discussing why they chos...

✔ 重要な課題 CQ(クリニカルクエスチョン)に対し、
✔ 科学的根拠に基づいた
✔ 「推奨」を示します。

日本での診療ガイドラインも、現在では国際標準に近づいています。

新しいガイドライン「アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン第3版」

花粉を飛散する前に、抗アレルギー点眼薬を点眼する「予防治療」は、2010年のアレルギー性結膜炎ガイドライン1には記載されていませんでした。

アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版), 日本眼科學会雑誌 114(10), 829-870, 2010-10-10

日本眼科アレルギー研究会が作成主体であったということです。

新しいガイドライン

2020年日本眼科アレルギー学会より、ガイドラインの第3版が発表されました。

http://www.joasg.com

アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン第3版

CQ(クリニカルクエスチョン)に対しての推奨、推奨の強さ:

9つのサマリーが記載されています。

1.通年性アレルギー性結膜炎にステロイド点眼薬は有用か?

季節性アレルギー性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎に対してステロイド点眼薬を条件付きで推奨する。(弱く推奨)

2.春季カタルにステロイド点眼薬は有用か?

春季カタルに対してステロイド点眼薬を条件付きで推奨する。(強く推奨)

3.アトピー性角結膜炎にステロイド点眼薬は有用か?

アトピー性角結膜炎に対して、ステロイド点眼薬を条件付きで推奨する。(強く推奨)

4.春季カタルやアトピー性角結膜炎にシクロスポリン点眼薬は有用か?

春季カタルに対して、シクロスポリン点眼を条件つきで推奨する。アトピー性角結膜炎に対しても、条件付きで推奨されるが保険適用はない。(弱く推奨)

5.春季カタルやアトピー性角結膜炎にシクロスポリン点眼薬はステロイド点眼薬より有用か?

春季カタルに対して、ステロイド点眼薬よりシクロスポリン点眼薬を条件つきで推奨する。(弱く推奨)

6.春季カタルやアトピー性角結膜炎に、シクロスポリン点眼薬とステロイド点眼薬の併用は有用か?

春季カタルでは、結膜増殖性変化に対して、シクロスポリン点眼薬とステロイド点眼薬との併用療法を行うことを条件付きで推奨する。

(弱く推奨)

7.春季カタルやアトピー性角結膜炎にタクロリムス点眼薬は有用か?

春季カタルやアトピー性角結膜炎では、タクロリムス点眼薬が角膜上皮障害、巨大乳頭を改善させることが示唆され、実施することを推奨する。た

だし、アトピー性角結膜炎に対してタクロリムス点眼薬は、保険適用はない。(強く推奨)

8.春季カタルやアトピー性角結膜炎にタクロリムス点眼薬はステロイド点眼より有用か?

春季カタル、アトピー性角結膜炎治療に対してタクロリムス点眼薬をステロイド点眼より推奨する。(弱く推奨)

9.春季カタルやアトピー性角結膜炎に、タクロリムス点眼薬とステロイド点眼薬の併用は有用か?

春季カタル、アトピー性角結膜炎では、重症の結膜増殖性変化に対して、タクロリムス点眼薬とステロイド点眼薬との併用療法を行うことを条件付きで推奨する。(弱く推奨)

今回も「予防治療」に対するエビデンスは記載されていません。

花粉症の予防治療に対するエビデンス

花粉症は、アレルギー性結膜炎のうち「季節性」に分類されるものです。

予防治療に対して、いくつかの報告2はあるものの科学的根拠は定まっていません。

スギ花粉症の予防治療の根拠について、耳鼻科領域での記載3をご紹介しました。

・スギ花粉が飛散する前に抗ヒスタミン薬を使用することで、アレルギー性鼻炎の重症度をコントロールすることができた。

・生活の快適さ・医療コストの削減の両方に対して、この結果は重要。

花粉症(アレルギー性結膜炎)に対しての予防点眼:

十分なエビデンスは未だ示されていませんが、耳鼻科での情報も念頭において診療をしています。

抗ヒスタミン薬(点眼)

アレジオン®・パタノール®・インタール®・リボスチン®・リザベン®点眼 等

ステロイド点眼も用います。

アレルギー性結膜疾患の予防:セルフケア

以下を気をつけられると良いと思います:

(アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン第3版 より)

○ 室内ダニの除去

室温を20℃以下、湿度50%:通気を良くする

寝具対策:晴れた日の天日干し、電気掃除機・空気清浄機の使用

○ 屋外花粉症対策

花粉情報の活用

花粉防御用メガネの効果

メガネのみでも、眼表面に飛び込む花粉量を減少させることができる

○ コンタクトレンズの装用

なるべくメガネに切り替えて、結膜炎を悪化させない

○ 洗眼

防腐剤を含有していない製剤や人工涙液を用いた洗眼が有用

水道水による頻回の洗眼は避ける

眼周囲の汚れや皮膚に付着した抗原が眼表面に接触しないように注意を払う

(←カップを用いた洗眼ではこの状態になってしまいます)

○ 外出時の衣類

ウールなどは花粉がからみやすい

すべりの良い生地は、花粉が衣類に残存しにくい

コート・スカーフ・帽子などを着用、玄関に入る前に脱ぐ工夫

○ 屋内花粉対策

室内に花粉を持ち込まない

花粉飛散量の多い日には、窓を閉め布団を屋外に干さないようにする

電気掃除機による定期的な掃除/空気清浄機の利用

花粉症予防に役立つアプリ(iPhone/Android)

参天製薬さんから、アプリのご紹介を受けました。

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