こどもから大人まで、勉強をたくさんしているかたやオフィスでPC作業が長いかた、演奏家や造形をされるかた・絵やイラストを描くかた 多くのかたの診療をおこなっています。
共通すること:「近くをみる時間が長い」
ピント調節筋(毛様体筋)に着目した診療をおこなっています。
“近くをみる時間が長い” 生活
【眼科検査・診察】
○ 視力検査:屈折状態(目の度数)を測定
○ アコモレフ(調節機能解析装置)
片眼50秒程度、無限遠~1m~50cm~33cmに近づいてくる花火の指標をみたときの毛様体筋の震え(High frequency component: HFC)を定量化してグラフにあらわします。
○ 細隙灯顕微鏡を用いた診察、他の眼疾患のスクリーニング
*とくに緑内障、網膜疾患、白内障の有無を確認します。
*フルオレセイン染色:ドライアイの状態を観察(涙液の3層構造)。
結果を目の前に設置した縦型モニターに提示して、主に以下をおこないます。
【点眼処方】
調節麻痺剤:ミドリンM(トロピカマイド)1日1回就寝前点眼
副交感神経系に作用し、毛様体筋をゆるませる。
* ミドリンMの点眼:こどもの近視進行を抑制する効果(エビデンス)は、ありません。
調節麻痺剤:アトロピン(希釈)1日1回点眼
アトロピンは副交感神経遮断により完全に調節を麻痺させます。
通常は斜視(内斜視)や弱視の詳しい検査、虹彩毛様体炎・ぶどう膜炎の急性期などに使用している点眼です。
そのまま点眼すると1-2週間瞳孔が広がってしまい、日常生活には適しません(=散瞳)。
100倍に希釈することで、散瞳することはほぼなくなります。
ミドリンMよりも強い効果を期待します。
また成長期のこどもに対しては、眼軸長の伸びを抑える効果があります(近視進行抑制)。
* マイオピンも対応できるようになりました。詳しくはお問い合わせください。
調節機能改善剤:ミオピン(ネオスチグミンメチル硫酸塩)1日3回点眼
副交感神経系に作用し、毛様体筋の収縮機能を助ける。
ドライアイに対する点眼
ドライアイの病名から受ける印象と違って、
「目が乾く」以外の症状が多いです。
涙液層が不安定になることで、眼精疲労の原因となることが考えられます。
炎症を抑えることが、先ずは奏効します。
他に人工涙液点眼・ムチン/水分分泌促進点眼等。
【眼鏡・コンタクトレンズ処方】
○ 昔作った眼鏡・コンタクトレンズが過矯正の状態になっていることがある。
遠くは見えるが、近くをみるときに毛様体筋の緊張が強くなる
○ 「若い頃から目が良い」
軽い遠視の状態であることが多く、近くをみるときに毛様体筋の緊張が強くなる。
近くをみる作業でも、ひとによってみる距離が違うようです。
・スマートフォン/SNSをみる時間が長い
・受験勉強
・PC作業(パソコン)
・楽譜をみて演奏
・細部にわたった繊細な絵を描く
・ファインダー越しに写真を撮る 等
眼の状態・生活状況を鑑みて、
それぞれのかたの生活に合った眼鏡・コンタクトレンズを一緒に考えます。
いまは近視(屈折)・眼精疲労の原因に関して考える時間が多くなっています。
眼鏡・コンタクトが煩わしいということ以外に、
近視が進行すると大人になったときに眼の病気になってしまうことがあります(病的近視)。
眼精疲労が続くと、生産性が落ちて結果的な社会的損失につながります。
「こどもの近視を少なくしたい」「みんなの仕事の支障を減らしたい」
高取で長く経過をみさせていただけることが、病院に勤務をしていた頃との大きな違いです。
地域性に応じた診療についても、前向きにいきたいと思います。
» “Digital eye strain” (デジタル眼精疲労)