こどもの近視:説明の方針

小児の近視に対する研究は世界中で進んでいて、眼科関連の学会でも重要な話題になっています。
「眼光学」の分野:
まだわかっていないことも多いです。現時点での最新の知識を共有します。
(近視に関して、2018開院時から今まで書いてきた内容のまとめです)

近視進行抑制(予防):
こどものうちに安全にしてあげられること」として、お話ししています。
診察時には、お聴きになりたいことを全部聴いてください。

目次

こどもの近視:説明の方針

近視がなるべく進まないように:小学生のうちに、こどもにしてあげられること

成長が止まるまで伸び続ける「目の長さ(眼軸長)」を、なるべく長くしないことです。

  • 2時間以上の外遊び
  • 低用量アトロピン点眼
  • オルソケラトロジー

近視研究に関して、科学的根拠のお話をしています。

“目が悪くなる” = 近視が進む = 「目の奥行き(眼軸長)が伸びる」

「近視ブーム」

2015年にNature誌から

Dolgin, E., 2015. The myopia boom. Nature 519, 276–278. 
marchofmyopia
Dolgin, E., 2015. The myopia boom. Nature 519, 276–278. 

弱めに合わせたメガネ:近視が進む(“目が悪くなる”方向へ)

「メガネをかけたら目が悪くなるって思っています」
→今は常識が変わっていました

以上の研究結果を前提に、なるべく「完全矯正」のメガネを合わせるようにしています。

理論と現実(こどもの希望 等)との違いもお話しながら、
かけてみてきつくないかなど、視能訓練士による検査をおこないます。

メガネは授業中だけ?スポーツするときは?

目が悪くなってきて、
いつからメガネをかけたら良いでしょうか..?
授業中だけかけたら良いでしょうか..?

度の合ったメガネを買ってあげて、「みえる😀」ってうれしくなるかな。
メガネをかけるかどうか、こどもさん自身が決めるのが良さそうです。

スポーツ用のメガネ、公式に安全性が担保されていることがわかりました。

「スポーツ用メガネは危険なので禁止する」ことにはつながらないようです。

スマホ・タブレット・ゲームは時間制限? →ときどき遠くをみるといいです

keep myopia away
Singapore National Myopia Programme/Health Promotion Board.

“マスクなしの会話😧”
“ソーシャルディスタンス..?”
“ブランコは消毒してる..?”
→ 2020年〜 時代が変わってしまいました。

スマホ・タブレット・テレビを見る時間が多い
勉強時間が長い
“近くを見る時間が長い”と、目が悪くなる理由/近視が進む原因になる:
ピントを合わせる「毛様体筋(もうようたいきん)」の状態をグラフにします。

近くを見続けることで、毛様体筋の緊張が強くなる
→眼軸長が伸びる方向へ進む
→近視が進む(“目が悪くなる”)

ときどき遠くを見る「20-20-20ルール」のお話をします。

こどもがしたいだけやって、時間を分断・少しお休み:
ときどき遠くをみると良いのでは、とお話します。
お散歩に連れていってあげたり、スポーツ・楽器など他に楽しいことがみつかったりするのも良いでしょうか。

“視力の左右差” が進む:「不同視」

近視の左右差が出てくると、数年後にその差が拡大します。

  1. 片方の目は、ピントがぼやけた状態になる
    →眼軸長が伸びる要因となる(=片方だけ近視が進む/“目が悪く”なる)
  2. “目が悪い” 方の、片方の目だけを矯正するのが難しい
    理由:(近視になっていない/“目が悪く”なっていない)もう片方の目が、矯正無しで見えているから
  3. 矯正できない状態が続き、眼軸長が伸びる(=近視が進行する)

1.-3.が続くことで、片方だけ近視が進んだ状態になってしまいます。

小学生の間には、メガネ・コンタクトの矯正が困難:
片方だけのオルソケラトロジーが良いかと考えます。
(自由診療のため、ご紹介するのみにとどめています)

ミドリンM(トロピカミド)の点眼の効果

毛様体筋の緊張を緩和する、薬理作用があります。
近視進行抑制に対して、科学的根拠を示している文献は見つけていません。

「山を見ると目にいい」「緑を見ると目にいい」の意味

遠くを見ること:
毛様体筋の緊張を、自然に緩和します。
「20-20-20ルール」とも共通します。
山あいの小学校には、近視が進む子が少ないようです。

オルソケラトロジーの近視進行抑制効果

メガネ・コンタクトは、真ん中のピントが合う
オルソケラトロジーは、真ん中とその周りにもピントが合う

そのことで、オルソケラトロジーの方がより近視進行抑制に作用するとの研究結果が相次いでいます。

オルソケラトロジーをはじめて3年になりました。
わたしたちも近視抑制効果を実感しています。
:レンズ度数交換になる子がほとんどいないこと、からの“印象”です。

夜つけるコンタクトレンズのこと、将来の近視進行を抑える効果:

こどもにとっては、将来のことより いま見えるかどうかが大事でしょうか:
「メガネなし・裸眼で見えたい」自分の気持ちが強いこと、確認します。

近視の程度を測るのに、「眼軸長」の測定が不可欠です。
眼軸長を測定できるようになったので、今後データとしても揃えられる予定です。

近視が進んだら手術?

こどもの成長が終わるころ、近視の状態が固定されます。
進行が止まった目の長さ「眼軸長」は、変えることができないです。
角膜をレーザーで削る「LASIK」
眼内レンズを挿入する「ICL」
:大人になってから、近視矯正の手術を考える機会もあるかもしれません。
慎重な判断が求められます。

免疫学との違い・安全性

免疫学・分子生物学に浸っていた時期は、
細胞→動物→ヒトの順番に研究結果が出ると思っていました。

眼光学の世界は、ヒト(臨床研究)の多くの研究結果が先に出ています。

個々の方法・理論がなぜ近視抑制に効いているのかな?を一字一句読み込んでいくと
precise mechanism is unknown(詳細な分子機構は明らかになっていない)」
などの記載に行き着きます。

まだわからないことが多いです。
でも、既存の方法・点眼薬を使うことで安全性は保たれていると考えます。

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