毎日の診療でお話する際、またホームページで文章を記載する際には
本当に科学的根拠が得られているのか(=エビデンスレベルが高いのかどうか)を、大事にしています。
「免疫学・ぶどう膜炎」の観点から、目の病気を考えると多くのことが理解できてきました。
緑内障・糖尿病網膜症・網膜剥離・加齢黄斑変性・ドライアイ・角膜炎・結膜炎 等
眼炎症/免疫学の観点から考えて、なるべくわかりやすく疾患のことをご説明する日々です。
英語で検索・読むことは、世界の情報を取捨選択することになります。
Pubmed, Google Scholarを主に使います。
「眼光学・近視・屈折異常」の世界は、免疫学とほとんど重なりがありません。
いまお話することが多い「近視進行抑制」のお話:
以前は多くの知識を持っていませんでした。
前勤務地の西区西都で、こどもの近視がとても増えていることを思っていました。
ロックダウン・自粛生活で世界中のこどもたちの近視が進行している文章も、多くあります。
高取に開院する前に、近視/眼光学に関連するたくさんの文献を読んでみました。
今までにHP「よみもの」に記載したまとめです。
近視進行抑制:科学的根拠のお話
エビデンスレベルのピラミッド
ある事実がたくさんの人に確認されて「再現性」が高まる:
科学的根拠をランク付けしたものです。
科学的根拠を元に、各学会で診療ガイドラインが作成されます。
診療ガイドラインに基づいて、診療全般がおこなわれています。
世界中の知識の蓄積から、高い再現性が得られている「標準治療」です。
「専門家の意見」は、エビデンスレベルの最下層
再現性がないためです。
ある人に効いた治療:
将来の素晴らしい治療につながるものかもしれません。
エビデンスの蓄積(科学的証拠の積み重ね)を待てると良いでしょうか。
待てないコロナワクチン・人類の最新知識を最速で応用
治療の前段階での研究があり、製薬会社で臨床応用がされるのには通常10年以上はかかります。
コロナワクチンのように待てない治療・予防治療は、世界中の叡智を結集してごく短期間で開発されました。
治療の前段階での研究をして、論文を書くときには、
最後の段落に
“IL-17 may be therapeutic targets in autoimmune diseases.”
(IL-17は自己免疫疾患治療のターゲットになり得ます)
などと記載するのが、常でした。
私たちも含めて、コロナワクチン摂取は、いま人類の最新知識を最速で享受していると言ってよさそうです。
代替医療
医療者にとって、
complementary and alternative medicine (CAM)(補完・代替医療)
は、看過できないものです。
お茶が好きで、「お茶が緑内障に効く」論文があるのかなと思ったらみつけました。
科学的証拠は十分ではありません。
偶然の産物から、今後有効な治療法が生まれてきました。
今でも世界中でたくさんの治療法が試されています。
クリニック・病院では、標準治療:
古くから現在までに世界中で得られた知識・証拠の集積に基づいた診療(=ガイドラインにのっとった診療)をします。
ふだんの診療でのお話・HPでの記載
エビデンスレベルの高い知識・証拠をご紹介します。
わたしの意見(私見)ではありません。
眼科の分野もとても幅広く、今でもたくさんのことを学ぶ日々です。
大学・医局での研究臨床と違い、何も情報がないところから疾患を推定していく毎日です。
「一生勉強」の医療者・スタッフ一同で、
みなさまに目のことをなるべくわかりやすく伝えられるようにします。