メガネをかけると目が悪くなる?:現在は「完全矯正」が推奨されます

こどもの眼鏡:今までの常識

長い間信じられていた、
「近視を進ませないために、度数の弱い(低矯正の)眼鏡をかけておく」

これが間違っている、との結果が多く報告されています。

近視が進まないようにすること(近視進行抑制)は、こどもの数十年後の網膜疾患・緑内障発症予防と考えます。

「近視のこどもの眼鏡は、完全矯正にするのが良い」

これまでの知見のご紹介です。

2002年の論文1 Chung
対象:既に近視がはじまっている近視のこども94人(9~14歳)。
結果:低矯正の眼鏡にした47人のこどもは近視がさらに進行した。
結論:「低矯正はより近視を急速に進ませ、眼軸長の伸びを促進する」

2006年の論文2 Adler
対象:48人の近視のこども(6~15歳)
結果:低矯正の眼鏡にした25人のこどもは近視がさらに進行した。
結論:「低矯正の眼鏡には近視を遅らせる効果はなかった」

2014年の論文3 Vasudevan
対象:近視のこども、76名(11~33歳; 平均14±5歳)のべ275名の外来患者さんのカルテを検討。
76名中61名が11~19歳、残りの15名は20~33歳。
低矯正(-0.5D; 44人, -0.37D; 21人, -0.25D; 63人, -0.12D; 22人)、完全矯正(0D; 125人)
結果:矯正の弱さに比例して、近視は進行した。

結論:「低矯正の眼鏡をかけた近視のこどもは、さらに近視が進行した。この結果は、これまでに臨床試験で示されてきた結果と一致していた。」

近視に対して低矯正の眼鏡を装用することは、完全矯正に比べて大きく近視を進行させます。
この結果は、これまでに報告されてきた多くの研究結果と一致するものです。
特殊なケースを除いて、こども~若年の近視に対しては完全矯正の眼鏡が推奨されます3

Under-correction of myopia produced a greater degree of myopic progression than did the full-correction. This finding is consistent with nearly all of the earlier studies in humans. Full-correction of myopia would be beneficial and most efficacious in children and young adults with myopia. Clinicians should prescribe the full myopic refraction, in the absence of other contrasting case history aspects.3

以下もご参照ください:

「近視ブーム」
小中学生の近視増加/ドライアイ:今週発表された知見のご紹介
こどもの近視・屈折異常
強度近視/日中韓眼科ミーティング

(参考)
1. Chung, K., Mohidin, N., O’Leary, D.J., 2002. Undercorrection of myopia enhances rather than inhibits myopia progression. Vision Research 42, 2555–2559. https://doi.org/10.1016/S0042-6989(02)00258-4
2. Adler, D., Millodot, M., 2006. The possible effect of undercorrection on myopic progression in children. Clinical and Experimental Optometry 89, 315–321. https://doi.org/10.1111/j.1444-0938.2006.00055.x
3. Vasudevan, B., Esposito, C., Peterson, C., Coronado, C., Ciuffreda, K.J., 2014. Under-correction of human myopia – Is it myopigenic?: A retrospective analysis of clinical refraction data. Journal of Optometry 7, 147–152. https://doi.org/10.1016/j.optom.2013.12.007

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