こどものメガネはいつから必要でしょうか(基準)

メガネの必要な視力とは:
“視力0.7以下になったら”などの基準は、ありませんでした。

裸眼視力・学校検診の判定(A, B, C, D)も、日によってばらつきがあります。

上手に裸眼視力を答えられないことがあります。
視力検査の技術により、正確な矯正視力・屈折(目の度数)を知ることができます。

得られた数値を、適切なメガネ処方につなげます。

(よく見えて)こどもが幸せに思うかどうか
ことが、メガネをかける判断基準になります。

アメリカ小児眼科斜視学会(AAPOS)の見解をご紹介します。

目次

こどものメガネはいつから必要でしょうか(基準)

「よくみえる」と自分で思えることが大事

  • メガネが必要な時期:「よくみえる」と、こども自身がうれしく思うころがタイミング。
  • 眼科での精密検査がおこなわれたあと、を前提に

(以下引用・日本語訳)
いつこどもにメガネをかけさせたら良いでしょうか?
小さいこどものことで、ほとんどの両親が尋ねる質問です。
最良の答えは、
・本当にメガネが必要な幼児のほとんどは、メガネをかけることでよくみえることがわかっている。
・そのため、問題なく喜んでメガネをかける。
最初はメガネをかけることに抵抗を示すこどもさんもいますが、両親が前向きな姿勢でいることが必要です。
こどもが協力的でない場合:
医師は点眼処方をすることで、こどもがメガネに慣れるのを助けることがあります。
幼児期のこどもがメガネをかけるかどうかは、その時の気分・機嫌に左右されることもあります。
学童期になると、メガネの必要性は自分で考えます。
親御さんの意見も入るかもしれません。
メガネを必要としない軽度の屈折異常(近視・遠視・乱視)もある一方、
教室で不自由をしていることもある可能性もあります。
読むのが苦手なこどものほとんどはメガネを必要としません。
本当にメガネが必要でないかどうかは、眼科の精密検査で正確に判断することができます。

注)一部意訳も含みます。正確な意味については、本文をご参照ください。

HOW WILL I EVER GET MY CHILD TO WEAR GLASSES?

That is a question most parents ask, especially when their child is an infant or toddler. The best answer is that most young children who really need glasses will wear their glasses without a problem (happily) because they realize that the glasses improve their vision. Initially, some children may show some resistance to wearing their glasses, but it is necessary for parents to demonstrate a positive attitude. If the child does not cooperate, the doctor may prescribe eye drops in an attempt to help the child adjust to the glasses. Toddlers may wear the glasses only when they are in a good mood and reject them (and everything else) when they are not. School-age children and their parents can provide input into the decision regarding the need for glasses. Some children may have small refractive errors that do not require glasses, while others may voice concern about difficulties in the classroom. Most children who have difficulty reading do not need glasses, but this can be determined during a complete eye exam.

Glasses for Children – American Association for Pediatric Ophthalmology and Strabismus

視力と目の度数「屈折」の違い:正確な目の度数をはかる

眼科では、視能訓練士による視力検査がおこなわれます。
裸眼視力を測ったのちに、適切なレンズを使って矯正視力検査をおこないます。

近くを見るときに、こどもはピントを調節する能力を強く持ちます。
(ピント調節の能力が落ちてくる“老視(老眼)”の反対ですね)

調節の影響が入ることによって、少し強めの近視という結果になってしまうことがあります。
いまのピント調節の状態を見るのには、調節機能解析装置を使うことも助けになります。

必要に応じて、調節麻痺の点眼薬を使用します。

以上の矯正視力検査を行うことによって、矯正視力目の度数(=“屈折”)が規定されます。

裸眼視力と屈折には、相関関係がないことも多くあります。
得られた視力と屈折のデータは、ばらついてしまう裸眼視力の影響を取り除いたものです。

正確に得られた数値:目の度数「屈折」を、メガネ合わせの基準にします。

度数の弱いメガネをかけると、目が悪くなる(=近視が進行する)

低矯正と完全矯正のメガネをかけて、近視の進行を比較した結果:
多くの論文のまとめ(メタアナリシス)が、今年発表されています。

以下のような結論が出ていました。

近視のこどもへの弱いメガネ(低矯正, under-correction)と完全矯正のメガネ(full-correction)の比較:
完全矯正のメガネをかけたこどもは、近視の進行が抑えられる

Yazdani, N., Sadeghi, R., Ehsaei, A., Taghipour, A., Hasanzadeh, S., Zarifmahmoudi, L., Heravian Shandiz, J., 2021. Under-correction or full correction of myopia? A meta-analysis. Journal of Optometry 14, 11–19. https://doi.org/10.1016/j.optom.2020.04.003

理論上は完全矯正のメガネが求められますが、実際のところはこどもさん・ご家族とお話ししながら考えます。

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