電気性眼炎(Photokeratitis)は、“目が日焼け”したような状態です。
前眼部の炎症です。
角膜:目の前面の透明な窓である薄い表面層
結膜:白目とまぶたの内側を覆う透明な組織
目に直接紫外線が当たって数時間後、
主に黒目(角膜)が障害を受けます1。
雪目・雪盲:「電気性眼炎」
雪目・雪盲:「電気性眼炎」の原因
電気性眼炎は、紫外線(UV)による眼のダメージによって引き起こされます。
自然の紫外線の主な発生源は太陽光です2。
雪目・雪盲:「電気性眼炎」は、
砂・水・氷・雪に反射した太陽光によって起こります。
紫外線による目の障害は、北極や南極の地域や高山で特に多く見られます。
空気が薄くて紫外線を防ぎにくいためです3。
また雪盲とは、
角膜の表面が凍りつくことや、
極端な空気の乾燥により角膜の表面も激しく乾燥することを指す場合もあります。
スキー、スノーモービル、山登りなどがこの症状を引き起こす原因となります。
人工的に作られた紫外線の発生源には、
- 日焼け用ランプ
- 日焼け用ベッド(日焼けマシーン)
- 実験室用UVライト
- 殺菌用のUVライト4
- 太陽灯
- 破損したメタルハライドランプ(体育館などにある)5
- アーク溶接
などがあります。
適切な目の保護具を着用することで、紫外線による目の損傷を防ぐことができます。
太陽そのものを凝視すること(日食を見るなど)には注意が必要です。
日食では目の奥の「網膜」に火傷を起こすこともあります。
網膜の永続的な障害で、重い視力障害の原因となります。
角膜の一時的な損傷よりも深刻です。
雪目・雪盲:「電気性眼炎」の症状
“日焼け”のように、目がダメージを受けてから気づくことが多くあります。
主な症状は以下の通りです。
- 目が痛い
- 充血
- ぼやけた見え方がする
- 涙が出る
- 目がゴロゴロする
- 目が腫れた
- 明るい光がまぶしい
- 頭痛
- ハローが見える
- 瞳孔が小さい
- まぶたの痙攣
- 一時的な視力低下
- 一時的な視界の色の変化
紫外線を浴びる時間が長ければ長いほど、症状は重くなります。
雪目・雪盲:「電気性眼炎」の診断
最近の活動をお聞きして目の状態を検査、
紫外線による損傷を調べるためにフルオレセイン色素の入った点眼薬を使用することで、電気性眼炎を診断します。
以下とは区別されます(鑑別診断)
ウイルス性結膜炎(はやりめ)
両眼に発症し、同様の所見を呈することがあります。
ウイルス性結膜炎(はやりめ)では、一般的に片眼が最初に発症し、明らかな結膜の充血や浮腫がみられます。
電気性眼炎では、両側に同時に発症し、結膜の炎症は比較的少ないです。
コンタクトレンズの長時間装用
コンタクトレンズが引き起こす目の障害と、電気性眼炎は区別されます。
ドライアイ
涙液量の減少
涙液の構造の不安定性(BUT, breakup time: 診察室でフルオレセイン染色により判断)
紫外線暴露歴がないこと
などから、ドライアイを考えます。
点眼薬の毒性
緑内障点眼薬や抗生剤点眼:
ブリモニジン、ネオマイシン、トブラマイシンなどの点眼薬、防腐剤入りの外用薬に対する過敏性や毒性を考慮します。
化学物質への暴露
洗浄スプレー、オーブン用洗剤、その他の化学物質は、光角膜炎と同様の症状や所見を引き起こすことがあります。
上眼瞼異物(目に何らかの異物が入った状態)
通常は片側性です。
上眼瞼異物(目に何らかの異物が入った状態)の場合、
角膜を顕微鏡でみると通常は縦方向の線状の擦過傷があります。
雪目・雪盲:「電気性眼炎」の治し方
雪目・電気性眼炎は、通常は自然に治ります。
角膜上皮の回復は早く、24-72時間で治癒するためです。
そのため、治療は目の回復に合わせて痛みを和らげることが主体となります。
コンタクトレンズを使用している場合は、すぐに外されてください。
人工涙液・眼軟膏・内服の鎮痛剤を使用します。
眼帯は推奨されません6。
症状緩和のために、
治癒期間中は、目をこすらないようにされてください。
(痛いときは眼軟膏を入れて、目を閉じておく)
冷たい布を閉じた目に当てることも、有効と思われます。
雪目・雪盲:「電気性眼炎」の予防
電気性眼炎は、紫外線を遮断する眼の保護具を着用することで予防することができます7。
これには以下が含まれます。
参考文献
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