まぶたがピクピクする
まぶたがけいれんする
その多くは「眼瞼ミオキミア」と呼ばれる状態です。
片方のまぶただけに発症して、比較的軽症であることが多いです。
「眼瞼がけいれんする」症状は、「眼瞼けいれん」の診断にならないことがほとんどです。
眼瞼けいれん(本態性眼瞼けいれん)の状態:
・目を開けているのがつらい
・目が自然に閉じてしまう
・目を閉じていたほうが楽 など、
「開瞼困難」の症状となっているかを確かめます。
ボトックス治療(保険適用)の対象となるのは、眼瞼けいれん(本態性眼瞼けいれん)です。
「眼瞼ミオキミア」とは区別されます。
まぶたの開け閉めが正常にできるか
を、みます。
まぶたがピクピクする:重症度を見分ける方法
「眼瞼けいれん(本態性眼瞼けいれん)」と「眼瞼ミオキミア」の違い・見分け方
「眼瞼けいれん(本態性眼瞼けいれん)」と「眼瞼ミオキミア」は、区別された病態です。
「眼瞼けいれん(本態性眼瞼けいれん)」:比較的重い状態で、ボトックス治療の対象となる。
大半は40歳以降、圧倒的に女性に多く発症します。
一番簡単に見分けるのは、まばたきがリズム良くできるかどうかです。
速瞬テスト
軽く、できるだけ早いまばたきを連続していただくテスト。
10秒間〜可能であれば30秒間。
・強いまばたき:素早い動きができない
・まばたきの最中に、違うまばたきが入ってしまう
・顔を強くしかめてしまう
などがあれば、「陽性」
軽瞬テスト
軽くリズミカルなまばたきをしていただくテスト。
・まゆ毛も一緒に強く動くまばたきになる
・けいれんのようなまばたきが多くなる
・まばたきそのものができない
などがあれば、「陽性」
強瞬テスト
目をいったん強く閉じて、また開けていただくことを繰り返してみるテスト。
・目を閉じたあと、また開けることができない
・顔を強くしかめてしまう
などがあれば、「陽性」
陽性であれば、眼瞼けいれん(本態性眼瞼けいれん)が疑われます。
とてもわかりやすい動画をご紹介します。
https://gskpro.com/ja-jp/disease-info/bs/test/
自然に治ってしまうことも多い「眼瞼ミオキミア」
・虫が這うように上眼瞼または下眼瞼の一部のみがピクピクと動く状態で、通常片側に起こる。
・眼輪筋の不随意運動:チックよりは細かい動きで、不規則で持続時間が長い。
眼輪筋(Orbicularis Oculi Muscle)
「眼瞼ミオキミア」の原因:
健常者でも眼精疲労、ストレス、睡眠不足などがきっかけとなります。
眼科では、眼精疲労の状態を詳しくみることがあります。
調節機能解析装置を使います。
ゆっくり休息をとることで、自然に いつの間にか治ってしまうことも多くあります。
「眼瞼けいれん(本態性眼瞼けいれん)」と違うのは、
・自覚症状が軽微であること
・開閉瞼が障害されていないこと
(まぶたの開け閉めに影響があまりない)
片側顔面けいれん:脳底血管との接触から
まぶたがピクピクする・まぶたのけいれんがある時に
気をつける必要があるのは、
「片側顔面けいれん」
と呼ばれる状態になっている可能性があることです。
脳幹で顔面神経の根部(root)が脳底血管と接触している場合に、
同じような症状が出ることがあります。
必要があると判断されたら、MRIを撮影することもあります。
顔面神経と接触する腫瘍が発見されることもあります。
眼瞼けいれん診療ガイドライン(日本眼科学会)
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/keiren.pdf
「眼瞼ミオキミア」デジタル機器の使用時間との関連:2024年 最新研究から
最近の研究で、デジタル機器の使用時間と瞼のピクピク(眼瞼ミオキミア)との関連が明らかになりました。2023年2月から2024年6月にかけて行われた調査では、眼瞼ミオキミアを訴える患者群は、健康な対照群と比べて、1日のデジタル画面使用時間が著しく長いことが分かりました。
眼瞼ミオキミア群:1日平均6.88時間のデジタル画面使用
対照群:1日平均4.84時間のデジタル画面使用
さらに、デジタル画面の使用時間と眼瞼ミオキミアの持続時間との間に強い正の相関が見られました。
つまり、デジタル機器を長時間使用するほど、瞼のピクピクが長く続く傾向があるということです。
Gunesら 研究者たちは、この現象の原因として以下の要因を挙げています:
デジタル画面からの強い光による眼精疲労
画面を見る際の瞬きの減少
眼輪筋(まぶたを動かす筋肉)の長時間にわたる緊張状態
一方で、この研究では以下の点も明らかになりました:
・未矯正の屈折異常(視力の問題)と眼瞼ミオキミアの間に有意な関連は見られませんでした。
・眼圧や緑内障との関連も認められませんでした。
・血中の電解質(カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム)レベルと眼瞼ミオキミアの間にも有意な関連は見られませんでした。
これらの結果から、
長時間のデジタル機器の使用が眼瞼ミオキミアの主要な原因の一つである可能性が高いと考えられます。
対策として、デジタル機器の使用時間を制限することが推奨されます。
デジタルデバイスの使用中は定期的に休憩を取り、意識的に瞬きをするなど、目の疲労を軽減する工夫も効果的と考えられます。
Gunes, I.B., 2024. Association Between Eyelid Twitching and Digital Screen Time, Uncorrected Refractive Error, Intraocular Pressure, and Blood Electrolyte Imbalances. Cureus. https://doi.org/10.7759/cureus.69249