・目がとても痛くなった
・片目だけ涙が出る
・涙が止まらない
・まぶしく見える
・視力が下がる
・異物感、目がごろごろする
「角膜上皮びらん」は、黒目:角膜の表面、角膜上皮がはがれることです。
黒目(角膜)に分布する知覚神経は非常に鋭いことが知られています。
はがれた面積(上皮びらんの面積)に応じて、痛みの程度が強く出ます。
角膜上皮細胞修復のスピードはとても早いので、数時間〜1日で痛みがおさまることがほとんどです。
そのあと、同じ角膜上皮びらんを起こしやすくなる:再発
が問題になることがあります。
目の傷を繰り返す「再発性角膜上皮びらん」
角膜上皮びらんを繰り返す「再発性角膜上皮びらん」では、
角膜上皮と、基底膜の接着が不十分となっています。
再発性角膜上皮びらんの症状
夜中や朝起きたときに、突然片側の目が痛くなることが特徴です。
目の痛みに伴って、
・充血
・まぶしく見える(羞明:光に対する過敏症)
・涙が出る(流涙)
・黒目(角膜)の傷
・異物感
などの症状を生じます。
再発性角膜上皮びらんの原因
再発性角膜上皮びらんの原因として、以下が挙げられます。
・眼外傷(目のケガ)
・屈折矯正手術(LASIK、ICL)を受けた眼
・白内障手術を受けた眼
・角膜移植の手術を受けた眼
・角膜ジストロフィー
・基底膜ジストロフィー
再発性角膜上皮びらんの痛みはどの程度続くか?
角膜びらんとなった面積に比例して、数時間〜数時間の痛みが持続することがあります。
上皮欠損が持続する重症例では、数日間痛みを感じることがあります。
数週間から数か月にわたって、断続的に再発することもあります。
目のキズ(角膜の傷)・再発性角膜上皮びらんはなぜ痛いか?
角膜は、感覚神経(末端)の密度が皮膚よりも高いため、はるかに知覚が鋭くなっています。
この高い感度により、角膜は環境の変化を検知し、反応する能力を持ち、その完全性と機能を維持する重要な役割を果たしています。
透明な角膜には、知覚神経が多く分布しています。
角膜の知覚神経は三叉神経(脳神経V)由来です。
透明な角膜に感覚神経を供給し、角膜の構造維持と機能の維持に不可欠であることがわかっています。
この神経が損傷すると角膜の知覚が低下し、神経栄養性角膜症などの症状を引き起こすことも知られています。
再発性角膜上皮びらんの治療
再発性角膜上皮剥離の治療の最初の選択は、保存的治療となります。
抗生物質や防腐剤を含まない滑らかな点眼薬と夜間の潤滑軟膏や高張食塩水軟膏が組み合わせて使用されます。
不快感に応じて、アトロピンや治療用コンタクトレンズなどを追加することもできます。
必要に応じて、経口鎮痛薬も投与します。
まぶたと角膜の摩擦を軽減するために
眼軟膏
浮腫を軽減させるために
塩化ナトリウム点眼
我が国では、塩化ナトリウムの点眼をおこなうことは一般的ではありません。
痛みを減らすために
アトロピン点眼
経口鎮痛剤(アセトアミノフェン・イブプロフェン)
角膜感染症の予防、治療
抗生剤の点眼
マクロライド系抗生剤眼軟膏(エリスロマイシン)
増殖因子・サイトカインの補充をはかる
自己血清点眼
角膜欠損部位の再増殖をはかる
凍結羊膜(ProKera®)
参考文献
Miller, D.D., Hasan, S.A., Simmons, N.L., Stewart, M.W., 2019. Recurrent corneal erosion: a comprehensive review. Clin Ophthalmol 13, 325–335. https://doi.org/10.2147/OPTH.S157430