強膜炎を原因とする目の痛み・充血

白目/目を構成する壁に当たる「強膜」は、主にコラーゲン・結合組織が豊富に含まれています。

そのため、コラーゲンを含む組織を巻き込んだ炎症:
リウマチ・強直性脊椎炎・ループス

などの、膠原病を反映することがあります:Collagen disease(コラーゲン病)

そのため、強膜の炎症が考えられる場合には
背部痛(背中の痛み)、関節痛、消化器症状

等の有無もお聞きします。

身体のどこかの炎症が、目に反映されていることもあります。

目次

強膜炎を原因とする目の痛み

✔ 目の痛み
✔ 目の違和感
✔ 白目の充血
✔ かすみ
✔ 流涙
✔ 光がまぶしい

目の痛み・充血などの症状は、ときに強膜炎を原因とするものであることがあります。

強膜炎の痛みはときにとても強く:
夜に悪くなり、顔からあごにまで広がることもあります。

なぜ強膜炎で目が痛むか?

強膜には脳神経→毛様体神経節経由が分布1しており、炎症に伴い痛みが生じるものと思われます。

・前部強膜炎(眼球の前方に起こる炎症)
・後部強膜炎(眼球の後方に起こる炎症)

前部強膜炎の方が頻度が高く、日常診療でたびたび診る機会があります。

後部強膜炎は、
・網膜剥離2(=視力に影響)
・閉塞隅角緑内障3(=眼圧が高くなる)

を合併してしまうこともあります。

前部強膜炎・後部強膜炎、双方に渡る場合もあります。

結節性(nodule, かたまり状)の後部強膜炎では、脈絡膜悪性黒色腫(目のがん)と間違われることもあります4

非常にまれですが、鑑別することが困難です。

強膜炎を起こす原因

全身疾患・自己免疫性疾患に伴うことが、多くあります。

○ 関節炎(関節の腫れ、こわばり、痛み等)5
○ ループス(全身性エリテマトーデス(SLE))6 
○ 炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎・クローン病 7
○ シェーグレン症候群 8
○ 強直性脊椎炎 9 
○ 多発血管炎性肉芽腫症 10 
○ 強皮症 11 その他の膠原病/結合組織病
○ 目の怪我をしたあと:真菌・寄生虫による強膜炎 12 等

強膜炎の診療

細隙灯顕微鏡、OCT、高深達OCT(EDI-OCT)などを用いた検査をおこなっています。
全身状態をお聞きして、リウマチ/膠原病内科での診療を一緒におこなうこともあります。

ステロイド点眼(リンデロン®など)で治療できるものから、手術加療を必要とするものまで様々です。

繰り返し再発することもあります。

強い炎症をきたした後に、強膜は薄くなってしまう(菲薄化)ことがあります。

かなり薄くなると、内側のぶどう膜が透けて見えることがある:
ひどくなれば、ぶどう膜が出てきてしまうこともあります。

その場合、重い視力障害を残してしまいます。

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