関節リウマチと目/炎症性疾患への考え方

体の中の一部を異物として認識して、自分の体が攻撃してしまう炎症:”自己免疫性の炎症”

関節リウマチ:
自己免疫性の炎症が起こることで、長い間かけて関節が傷んでいきます1

目との共通点:
目(角膜・強膜)と関節軟骨は、コラーゲンとプロテオグリカン(糖タンパク質)が多く含まれていることが共通しています。

そのため、関節リウマチの患者さんには角結膜・強膜の炎症を生じることがあります。

また、ぶどう膜炎をきたすこともあります。

  • ドライアイ(乾性角結膜炎; keratoconjunctivitis sicca)
  • 周辺部角膜潰瘍2
  • 強膜炎
  • ぶどう膜炎3

眼炎症性疾患は点眼・軟膏などの局所治療を強化することで、治癒に導くことができます。
場合によっては、全身治療(内服・点滴)が必要となる場合もあります。

» ぶどう膜炎の診療をしています。

目次

関節リウマチと目/炎症性疾患への考え方

炎症性疾患に対しては、感染性か自己免疫性(非感染性)かを判断することが重要です。

免疫学の知識を基礎に、生体でどのような反応が起こっているかを考える診療をおこなっています。

自己免疫性炎症と判断されれば、炎症を抑える薬物治療をおこないます。

副腎皮質ステロイドは強力に炎症を抑える反面、感染症を悪化させる副作用ももつ“諸刃の剣”です。

点眼・軟膏の局所加療においても、使い方には細心の注意が必要です。

感染性の炎症と判断するために、必要に応じて補助診断をおこないます。

  • グラム染色(当院で実施可能):細菌類を色素によって分類する
  • 細菌培養検査(外注) 等

結果に応じて、適切な抗生剤を選択します。

光が目に入って網膜に到達するまで、組織(角膜・水晶体・硝子体)が透明である必要があります。

目の病気が治ったとしても瘢痕(きずあと)を残すと恒久的な視力低下につながってしまいます。

迅速な判断と対応が重要で、“眼の透明性を維持すること” を目標とします。

結果は、画像を用いてわかりやすくご説明します。

必要に応じて、時期を逸することなく九州大学病院/基幹病院等へ紹介を行うことができる体制を整えています。

参考:

1. Extra-articular manifestations of rheumatoid arthritis: an update
Autoimmun Rev. 2011 Dec;11(2):123-31.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21939785
2. Ocular inflammatory diseases associated with rheumatoid arthritis.
Nat Rev Rheumatol. 2014 Feb;10(2):108-16.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24323074
3. Arthritis and inflammatory eye disease
Rheumatology. 2005 Oct;44(10):1207-1209
https://doi.org/10.1093/rheumatology/kei027

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