散瞳をしない(瞳孔を開かない)網膜画像診断は、思っていた以上に高精細な画像を得ることができました。
「眼底検査のあと、しばらくまぶしい」「瞳孔を開いたあとの帰り道、車の運転ができない」
:など 患者さんにとっての不便が、なくなりました。
ミランテ(ニデック社)を使えるようになって、2週間と少しが過ぎました。
眼科画像診断の変革に驚く😳日々です。
ぶどう膜炎・網膜疾患・緑内障等に対して、高精細な画像を得ています。
* SLO (Scanning Laser Ophthalmoscope): 共焦点走査型検眼鏡
網膜疾患・緑内障:質の高い画像診断と、患者さんの利便性
「後極部」からはじまる網膜画像診断の変遷
“ものがみえる”ために、大事な部分は「黄斑部」「視神経」
後極部:眼底の真ん中の部分です。
2001年研修医時には、OCTがまだありませんでした。
細隙灯顕微鏡と前置レンズを使って、散瞳後の「黄斑部」を一生懸命診察する日々。。
患者さんはまぶしい。。(ごめんなさい)
同じ方法で、今は「視神経(視神経乳頭陥凹)」の状態を一瞬で直視します。
ほぼ全ての患者さんに対して直接のスクリーニングをおこなうことができます。
眼科医が「視神経」を直視するために、散瞳(瞳孔を開く)検査は必要ありません。
:緑内障の早期発見
* OCT (Optical Coherence Tomography) : “目のCT” 光干渉断層撮影/眼底三次元画像解析
今はOCTが進化して、誰が見ても一目瞭然の黄斑部・視神経の画像が瞬時に得られるようになりました。
「視神経乳頭陥凹」の状態を詳細に知る際にも、大活躍している機械です。
さらに進化した現在、
後極部→周辺部まで、綺麗な画像が得られる時代になってしまいました。
マルチカラー(RGB)で表現する“色の情報”
3色(Red/Blue/Green)レーザー光源の、合成画像です。
RGBは「光の三原色」と呼ばれます。
このスマホやパソコンのディスプレイやテレビの発色方法も一緒で、ほぼ全ての色を表現します。
色をコードで表現する方法
16進数カラーコードとRGB値
Hexコード
#000000
赤・緑・青の順番に16進数を並べます。
(9の次がA)
00–09-0A–0F-10–19-1A–1F-20—FF(最大値)
10進法に置き換えると、
0Aは10, FFは255
#000000: 黒
#FF0000: 赤
#00FF00: 緑
#0000FF: 青
#FFFFFF: 白
変換ツール(hex/rgb):
https://www.webfx.com/web-design/hex-to-rgb/
例:SNSアイコンのカラーコード(コーポレートカラー)
(参考)
印刷物はCMYK形式を使用
Cyan(シアン)/Magenta(マゼンタ)/Yellow(黄色)/Key Plate(黒)
:RGBの画面をそのまま印刷すると、色味が少し暗めになってしまうことが多くなってしまう理由です。
網膜の「色の情報」と、「深さの情報」
○ 色の情報
→RGBの合成
○ 深さの情報
→RGBそれぞれの波長で吸収される網膜の層を利用
眼科医の目で見ている網膜の情報・状態が、
・散瞳(瞳孔を開く)こと無しで、
・高精細に、
どなたから見ても一目瞭然の画像となって現れます。
ほとんどの網膜・ぶどう膜疾患が散瞳無しで診察ができるようになってしまいました。
「眼底検査のあと、運転して帰宅できる」
患者さんにとっても、やさしい状態になりました。
(それでも必要な際は、散瞳後の眼底検査をお願いすることもあります。)
散瞳無しでとらえる網膜の状態
SLOを使えるようになってまもなく、以下のような変化を綺麗にとらえることができました。
・緑内障に伴う神経線維の菲薄化(NFLD)
OCTでもはっきりしないNFLDも描出されるようです
・サルコイドーシスぶどう膜炎の網膜周辺部血管炎
・貧血に伴う網膜虚血
・糖尿病網膜症の変化 出血・白斑
・網膜静脈分枝閉塞症に伴う出血・網膜浮腫
・網膜裂孔・網膜剥離
・薄い網膜剥離
・網膜前膜(黄斑上膜)
・90代以上の小さな瞳孔からの撮影
(年齢に反比例して瞳孔の大きさが小さくなります)
・黄斑部の疾患
加齢黄斑変性、中心性漿液性脈絡網膜症、強度近視にともなう黄斑変性・脈絡膜新生血管
眼内画角は163°
:さらに周辺部の画像は、パノラマ合成写真を使って得ることができます。
合成も数秒で完了。。
全て散瞳無し(=患者さんの利便性は高いまま)
誰の目から見ても明らかなRGB画像を得られてしまいます。
OCTの登場と進化で、眼底の後極部:
「黄斑部」「視神経」疾患の説明や理解が進みました。
SLOは中心部から、周りの情報まで微細に表現します。
眼科医の目と経験から、疾患の所見を得て記載:
今までの診療の根本から変えてしまう機械です。
“直感”とは、
今までの経験・知識からみちびかれる判断でしょうか。
細隙灯顕微鏡と前置レンズを使った“眼科医の直感”も大事にしながら
新しい網膜画像診断と一緒に、長く診療をおこなっていきたいと思います。