「治療はいつまで続くのですか」「治るのですか」
ぶどう膜炎と診断された患者さんから、いちばん多くいただく質問です。
点眼を減らすと再び目が赤くなる。飲み薬が始まって、体への影響が心配になる。
「生物学的製剤」という聞き慣れない言葉が出てきて、不安が大きくなる。
治療の途中で、今どの段階にいて、次に何があるのかが見えにくくなってしまうことも多いかと思います。
本記事では、ぶどう膜炎の治療の全体像を、段階ごとに整理します。

ぶどう膜炎の治療は「炎症を抑える」「再発を防ぐ」「薬を減らす」という流れで進みます
ぶどう膜炎の治療は、まず原因が感染かどうかを見極めることから始まります。
非感染性のぶどう膜炎(感染が原因ではないもの)では、炎症が目の前側にある場合は、ステロイドの点眼が治療の基本です。炎症が目の奥にある場合や、点眼で抑えきれない場合は、目の周りへの注射、ステロイドの飲み薬や点滴、免疫抑制薬、生物学的製剤へと治療を強めます。
治療の目的は、炎症を抑えて視力を守ることと、ステロイドを少しずつ減らしながら再発しない状態を保つことです。
治療期間は原因の病気によって大きく異なり、数週間で終わる方もいれば、年単位で続く方もいます。
ぶどう膜炎とは
ぶどう膜炎は、目の中にある「ぶどう膜」(虹彩・毛様体・脈絡膜)を中心に炎症が起こる病気です。
主に炎症が起きている場所によって、前部(前房が中心)、中間部(硝子体が中心)、後部(網膜・脈絡膜が中心)に分けられます。
前房・硝子体・網膜や脈絡膜に広く炎症があり、主な場所を一つに絞れない場合は、汎(はん)ぶどう膜炎と呼びます。場所の違いは、どの治療を選ぶかに直結します。

日本の2016年の全国調査では、原因としては、サルコイドーシス、フォークト・小柳・原田病(Vogt-Koyanagi-Harada disease, VKH、以下「原田病」)、ヘルペス性虹彩炎、急性前部ぶどう膜炎の順に多いことがわかりました。
ベーチェット病は4.2%で、2009年の前回調査と同程度でした。この調査では、原因を特定できない方も3人に1人以上いました1。

最初に決めること:感染によるものか、そうでないか
ぶどう膜炎の治療で最初の分かれ道は、原因が感染(細菌・ウイルス・真菌・寄生虫など)かどうかです。
非感染性のぶどう膜炎には、炎症を抑えるステロイドが中心になります。ところが感染性のぶどう膜炎にステロイドを先に使うと、病原体を抑える力まで弱めてしまい、炎症が急に悪化する恐れがあります。
日本眼炎症学会のガイドラインでも、感染性のぶどう膜炎に後部テノン嚢下注射(後述)を行うと、急激に悪化する恐れがあるとされています。そのため、まず抗菌薬や抗ウイルス薬などで治療し、反応を確認してからステロイドを加えることが示されています2。
そのため初診時には、目の所見に加えて、梅毒・結核などへの感染の有無を、血液検査などで確認します。
ヘルペスウイルスなどによる目の中の感染が疑われる場合は、点眼麻酔のうえで前房水(黒目の奥にある水)をごく少量採り、PCR検査でウイルスの遺伝子を調べます2。血液検査だけでは、ヘルペスウイルスが目の中の炎症の原因かどうかを判断できないことがあります。
大分大学の中野聡子先生らが中心となって開発した検査では、ごく少量の前房水や硝子体から、ヘルペスウイルスの仲間(単純ヘルペス・水痘帯状疱疹・サイトメガロなど)、HTLV-1、梅毒トレポネーマ、トキソプラズマの9種類の病原体を一度に調べられます3。全国29施設の475検体を用いた研究では、前房水での結果が従来のPCR検査と98.5%一致しました3。
この9種類を調べる検査キットは、2025年10月に国の承認を受け、2026年7月に発売されました。大分大学の2026年7月28日の発表では、保険適用に向けた活動を進めているとされています4。
福岡を含む九州では、HTLV-1というウイルスに関連するぶどう膜炎が全国より多いことも知られています。詳しくは、発症頻度と見通しの記事で紹介しています。


段階別の治療
ここからは、非感染性のぶどう膜炎を中心に、治療の段階を順に説明します。
すべての患者さんが、①から⑤まで順番に進むわけではありません。前部の軽い炎症は点眼だけで落ち着くことが多く、原田病のように最初から飲み薬や点滴が必要な病気もあります。
| 段階 | 対象(主な例) | 目的 | 主な副作用 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| ① ステロイド点眼・散瞳薬 | 前部ぶどう膜炎 | 前房の炎症を抑え、虹彩の癒着を防ぐ | 眼圧上昇、白内障 | 数週〜数か月で漸減。再発時に再開 |
| ② 結膜下注射・後部テノン嚢下注射 | 強い前部炎症/中間部・後部の炎症、黄斑浮腫 | 点眼が届きにくい場所に薬を届ける | 眼圧上昇、白内障、注射部位の出血 | 効果は数週〜数か月。必要に応じ繰り返す |
| ③ ステロイド内服・点滴 | 両眼性・後部の強い炎症(原田病など) | 目の奥の炎症を全身から抑える | 骨粗鬆症・骨折、感染症、胃潰瘍、糖尿病・血圧の悪化、肥満・ムーンフェイス、気分の変化 | 数か月かけて漸減 |
| ④ 免疫抑制薬 | ステロイドを減らせない・副作用で続けられない非感染性 | ステロイドの量を減らす | 腎機能・肝機能障害、感染症、長期での悪性腫瘍のリスク | 年単位になることが多い |
| ⑤ 生物学的製剤 | 既存治療で効果不十分な非感染性(ベーチェット病など) | 炎症の発作を防ぎ、ステロイドを減らす | 結核・肺炎などの感染症、注射・点滴の反応 | 年単位。中止は慎重に判断 |
※期間は一般的な目安で、原因の病気・炎症の程度により個別に異なります。対象・副作用は日本眼炎症学会ぶどう膜炎診療ガイドライン(2019)2、各薬剤の電子添文にもとづいて作成。

① ステロイド点眼と散瞳薬
前部ぶどう膜炎の治療の基本は、ステロイドの点眼です。

出典:Gogri PY, et al. Int Sch Res Notices. 2014;2014:347638. Figure(CC BY)
ガイドラインでは、まず0.1%ベタメタゾン(リンデロン®)を点眼します。炎症細胞が減ったことを確認しながら点眼の回数を減らし、0.1%フルオロメトロン(フルメトロン®)などの弱いステロイドへ切り替えていく流れが示されています2。
同時に使うことが多いのが、瞳孔を開く散瞳薬(さんどうやく、ミドリン®Pなど)です。
炎症があると、虹彩(茶目)が後ろの水晶体にくっつく「虹彩後癒着」が起こりやすくなります。散瞳薬は、癒着を防ぐことと、毛様体の緊張をゆるめて痛みを和らげることが目的です。
日本の保険診療データの研究では、非感染性ぶどう膜炎の患者さんの6割以上が、病院ではなく診療所で治療を受けていました。処方の多くは点眼薬でした5。
ぶどう膜炎の治療の多くは、身近な眼科での点眼から始まります。
点眼の副作用で注意が必要なのは、眼圧の上昇と、それによる緑内障(ステロイド緑内障)、白内障です。
若年性特発性関節炎(JIA)に伴うぶどう膜炎の小児の研究では、ステロイド点眼が1日3回を超えると、3回以下のときより白内障が多く起きたことが報告されています6。炎症を抑えつつ、できるだけ少ない回数に減らしていくことが大切です。

② 目の周りへの注射(結膜下注射・後部テノン嚢下注射)
点眼薬は、角膜や前房など目の前側には届きますが、硝子体や網膜・脈絡膜にはほとんど届きません。
線維素(フィブリン)の析出や前房蓄膿を伴う強い前部の炎症には、白目の表面の膜の下に注射する「結膜下注射」が使われます2。当院では、デキサメタゾン(デカドロン®)の結膜下注射に対応しています。
硝子体の濁りや、網膜の中心がむくむ「黄斑浮腫」など、視力に影響する中間部・後部の炎症には、「後部テノン嚢下注射」を行います2。英語の posterior sub-Tenon triamcinolone acetonide injection の頭文字から、「STTA」とも呼ばれます。
眼球は、白目の表面の結膜と、その下のテノン嚢という膜に包まれています。後部テノン嚢下注射では、点眼で麻酔をしたうえで白目の表面を小さく開き、先の丸い細い管(鈍針)を眼球の壁に沿わせて奥へ進め、眼球の後ろ側に薬を置きます7。
針を目の中に刺す注射ではありません。薬は眼球の外側、網膜や脈絡膜に近い場所にとどまり、そこから目の奥の炎症に働くと考えられています。
国内では、トリアムシノロン(マキュエイド®)のテノン嚢下投与が、非感染性ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫の軽減に承認されています。再び投与する場合は、3か月以上の間隔をあけることが定められています8。
さまざまな原因のぶどう膜炎の51眼を対象にした日本の研究では、鈍針で投与する方法で硝子体の濁りや黄斑浮腫の改善がみられた一方、白内障の進行が31%、眼圧上昇が27%の眼でみられました7。
ぶどう膜炎の黄斑浮腫を対象にしたランダム化比較試験(POINT試験)では、8週後の黄斑の厚み(むくみ)が、目の周りへのトリアムシノロン注射で23%、目の中(硝子体内)へのトリアムシノロン注射で39%、デキサメタゾン徐放剤で46%減ったことが報告されています9。
投与の前後には抗菌薬の点眼を使います。投与後に、白目の出血や充血、むくみ、目の痛みが出ることがあります8。
注意が必要な副作用は、眼圧上昇と白内障です。白内障は投与から半年以上たって出てくることもあり、注射を繰り返すほど起こりやすくなります2,8。
当院でも、白目を小さく切開して鈍針で入れる方法で、後部テノン嚢下注射を行っています。
③ ステロイドの内服・点滴
両目の強い炎症や、網膜・脈絡膜・視神経に及ぶ炎症では、飲み薬や点滴で全身からステロイドを投与します。
ただし、全身のステロイドを先に始めると、原因を調べる検査結果の判定が難しくなることがあります。そのため当院では、飲み薬や点滴を始める前に、九州大学病院のぶどう膜炎外来で原因の検査を受けていただくことを大切にしています。
ガイドラインでは、飲み薬のプレドニゾロン(プレドニン®)に換算して、1日体重1kgあたり0.5mg以上を開始量とします。
炎症が十分に落ち着いたことを確認してから、薬を減らしていきます。重い場合には、メチルプレドニゾロン(ソル・メドロール®)を点滴で大量に投与する方法もあります2。
減量の途中で炎症がぶり返した場合は、量を少し戻し、前回よりもゆっくり減らします2。「一気に減らさない」ことが、再発を防ぐうえで大切です。
全身の副作用で特に注意が必要なのは、骨粗鬆症と骨折です。
ほかにも、感染症、胃潰瘍、糖尿病や高血圧の悪化、体重の増加、顔が丸くなる変化(ムーンフェイス)などが起こることがあります。
また、不眠や気分の高ぶり・落ち込みなどの気分の変化、小児の発育への影響、長く使った後の副腎機能の低下にも注意が必要です2。長く使う場合は、骨密度の測定や骨を守る薬の併用を内科と相談します。
内服のステロイドは、自己判断で急にやめると炎症の再燃や体調の悪化につながることがあります。減らし方は、主治医と相談しながら決めることが重要です。
④ 免疫抑制薬
ステロイドを一定量より減らすと再発する場合や、副作用のためにステロイドを続けられない場合には、免疫抑制薬を検討します。目的は、ステロイドの量を減らすこと(ステロイドの「肩代わり」)です2。
国内でぶどう膜炎に保険適用があるのは、シクロスポリン(ネオーラル®)です。対象は、ベーチェット病(眼症状のある場合)と、既存の治療で効果が不十分で視力低下のおそれのある活動性の中間部・後部の非感染性ぶどう膜炎です10。
海外ではメトトレキサートやミコフェノール酸モフェチルも広く使われていますが、国内ではぶどう膜炎の保険適用がありません(2019年版ガイドラインの時点)2。
2つの薬を比べたランダム化比較試験(FAST試験)では、6か月時点で、ステロイドを少量まで減らしたうえで炎症が抑えられた割合(治療成功)は、メトトレキサート66.7%、ミコフェノール酸モフェチル57.1%で、統計的に意味のある差はありませんでした。後部・汎ぶどう膜炎に限ると、メトトレキサートのほうが高い割合でした11。
免疫抑制薬には、腎機能・肝機能の障害、感染症、長期での悪性腫瘍のリスクがあり、血液検査などの定期的な確認が必要です2。
⑤ 生物学的製剤(バイオ製剤)
生物学的製剤は、炎症を起こす特定の分子を狙って働きを止める薬です。ぶどう膜炎では、TNF-α(腫瘍壊死因子)という分子の働きを抑える薬が、国内で2種類使われています。
アダリムマブ(ヒュミラ®)は、既存の治療で効果が不十分な非感染性の中間部・後部・汎ぶどう膜炎に使われる皮下注射です。
活動性の炎症がある患者さんを対象にしたVISUAL I試験では、炎症の悪化などによって治療が失敗するまでの期間の中央値は、アダリムマブ群で24週、プラセボ群で13週でした12。一方、ステロイドで炎症が落ち着いている患者さんを対象にしたVISUAL II試験では、再燃などによって治療が失敗した割合は、アダリムマブ群で39%、プラセボ群で55%でした13。
国内の用法は、初回80mg、1週後に40mg、以後は2週に1回40mgの皮下注射です14。日本では2016年9月に承認され、原因の病気を問わず非感染性ぶどう膜炎に使える初めての生物学的製剤になりました15。
インフリキシマブ(レミケード®)は、ベーチェット病による難治性の網膜ぶどう膜炎に使われる点滴です。初回、2週後、6週後、以後8週ごとに投与します16。
日本では2007年に、世界に先駆けて保険適用となりました17。
国内の多施設研究では、治療開始後に眼発作の頻度が減った一方、約6割の方に再燃がみられました。ただし、再燃の多くは、点眼の増量や点滴の間隔の短縮で落ち着いたと報告されています18。
| 試験 | 対象 | 比較 | 主な結果 |
|---|---|---|---|
| VISUAL I(NEJM 2016)12 | 活動性の非感染性 中間部・後部・汎ぶどう膜炎 217名 | アダリムマブ vs プラセボ | 治療失敗までの期間 中央値24週 vs 13週(HR 0.50) |
| VISUAL II(Lancet 2016)13 | ステロイドで落ち着いている非感染性ぶどう膜炎 226名 | アダリムマブ vs プラセボ | 治療失敗 39% vs 55%(HR 0.57) |
| FAST(JAMA 2019)11 | 非感染性ぶどう膜炎 216名 | メトトレキサート vs ミコフェノール酸モフェチル | 6か月の治療成功(ステロイド減量を含む) 66.7% vs 57.1%(差は有意でない) |
| POINT(Ophthalmology 2019)9 | ぶどう膜炎の黄斑浮腫 | 目の周りのトリアムシノロン vs 硝子体内のトリアムシノロン・デキサメタゾン徐放剤 | 8週の網膜厚の減少 23% vs 39%・46% |
※試験ごとに対象・条件が異なるため、治療法どうしの単純な比較はできません。HR:ハザード比(1より小さいほど治療失敗が起こりにくい)。
生物学的製剤を始める前に確認すること
TNF-αを抑える薬は、体が結核などの感染を抑え込む力も弱めます。
そのため開始前に、結核の検査(問診・胸部X線・血液検査〔IGRA〕、必要に応じて胸部CT)、B型・C型肝炎ウイルスへの感染などを確認します。過去の結核感染が疑われる場合は、検査結果に応じて結核の薬(予防投与)を先に始め、生物学的製剤の開始時期を判断します2,14。
アダリムマブの電子添文には、ぶどう膜炎に使う場合は内科などの医師と十分に連携して使うことが明記されています14。生物学的製剤は、眼科だけで完結する治療ではありません。
生物学的製剤は、病気そのものをなくす薬ではなく、炎症を起こしにくい状態を保つための薬です。

サイトカインを狙う治療:研究でわかっていること・まだわからないこと
私自身は以前、九州大学で、ぶどう膜炎にかかわるサイトカインの基礎研究をしていました。サイトカインとは、免疫細胞どうしの連絡役となる小さなタンパク質です。
基礎研究では、IL-6がTh17という炎症を起こす細胞を増やすこと、IL-6の受容体を抗体でふさぐと炎症が軽くなることを報告しました19。また、IL-17がなくても炎症の立ち上がりは変わらず、後半だけが軽くなることも報告しています20。
ただし、基礎研究の結果をそのまま人に当てはめることはできません。
人のぶどう膜炎で、ランダム化比較試験で効果が確かめられ、国内で承認されているのは、TNF-αを抑える薬です。
一方、IL-17Aを抑える薬は、ぶどう膜炎の試験で期待された結果が得られませんでした。詳しくは、先に紹介したバイオ製剤の記事で解説しています。
IL-6については、抗IL-6抗体のバミキバルトが、非感染性ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫を対象として、2026年8月に国内で承認申請されました21。バミキバルトは、目の中に直接注射する薬です。
申請は第III相試験の結果に基づくものです21。2026年9月時点では、国内ではまだ承認されていません。
それぞれの副作用と、当院で確認していること
ステロイドや免疫を抑える薬は、目にも全身にも副作用があります。副作用が心配なときは遠慮なく主治医に相談していただき、副作用を早く見つけて治療を調整することが大切と考えます。
| 確認すること | 理由 | 主な方法 |
|---|---|---|
| 眼圧 | ステロイドの点眼・注射で上がることがある | 受診のたびに測定 |
| 水晶体(白内障) | ステロイドと炎症の両方で進むことがある | 細隙灯顕微鏡 |
| 黄斑のむくみ | 視力低下の主な原因 | OCT(光干渉断層計) |
| 網膜・脈絡膜の炎症、血管炎 | 目の奥の所見と血流の変化を見る | 眼底検査、超広角眼底撮影、OCTA |
| 全身の副作用(血糖・血圧・骨・感染症) | 内服・免疫抑制薬・生物学的製剤で起こりうる | 内科・かかりつけ医と連携 |
ステロイドで眼圧が上がりやすい体質の方(ステロイドレスポンダー)がいます。眼圧が上がっても自覚症状はほとんどないため、測定しなければ気づきにくい変化です。



治療期間と減量の考え方、そして再発
「ぶどう膜炎の治療は、いつまで続くのか」への答えは、原因の病気と炎症の型によって変わります。
炎症が続き、治療をやめると3か月たたないうちに再び悪化する場合は「慢性」、治療なしで3か月以上落ち着いている期間を挟んで発作を繰り返す場合は「再発性」と、国際的な基準で区別されます2。慢性の場合は長く続く治療が必要になりやすく、再発性の場合は、発作のたびに治療をし、落ち着けば薬を減らすことを繰り返します。
減量は、炎症がないことを確認しながら少しずつ進めます。点眼を1日1回まで減らしてから止める、という段階を踏むことも多いです。
生物学的製剤をいつ、どのようにやめるかについては、すべての患者さんに共通する答えはまだ出ていません22。
小児の若年性特発性関節炎(JIA)に伴うぶどう膜炎で、アダリムマブにより1年以上落ち着いている患者さんを対象にした試験(ADJUST試験)では、アダリムマブを続けた群のぶどう膜炎または関節炎の再燃が14%だったのに対し、中止した群では68%でした23。
小児の研究結果が、そのまま大人に当てはまるとは限りません。ただし、ADJUST試験の結果は「落ち着いているからといって、薬がいらなくなったとは限らない」ことを示しています。
再発したときに大切なのは、早く気づいて早く治療を強めることです。「充血」「まぶしさ」「かすみ」「黒い点が増えた」などは、再発のサインのことがあります。

たける眼科(福岡市早良区高取商店街)での対応
たける眼科は、2018年の開院以来、ぶどう膜炎・眼炎症の診療を続けてきました。
当院では、受診のたびに視力・眼圧・前房と硝子体の炎症を確認し、必要に応じてOCT、超広角眼底撮影、OCTAで目の奥の炎症と黄斑のむくみを評価します。
医師一人のクリニックである当院では、九州大学病院との併診が診療の中心です。
点眼回数の調整、デキサメタゾンの結膜下注射、後部テノン嚢下注射、眼圧の管理、再発時の早期対応は、当院で行います。
原因の精密検査、全身のステロイド治療、免疫抑制薬、生物学的製剤の導入と継続は、九州大学病院のぶどう膜炎外来で行います。全身のステロイドを始める前に九州大学病院で原因の検査を受けていただくのは、先に薬を始めると検査結果の判定が難しくなることがあるためです。
当院と九州大学病院は地下鉄1本で行き来できるため、両方に通院しやすい環境です。
通院の間隔は、炎症が強い時期は1〜2週ごと、落ち着いてくれば1〜3か月ごとが目安です。


患者さんへお伝えしたいこと
ぶどう膜炎の治療は、炎症が強いときには階段を上がるように段階的に強め、落ち着けば階段を下りるように段階的に減らしていきます。
今どの段階にいて、次は何を目指すのか。減らす途中で炎症が戻ったらどうするのか。
治療の見通しを共有しながら進めることが、長い治療を続けるうえで支えになると考えています。
点眼や飲み薬を自分の判断でやめず、気になる症状や副作用の心配があれば、早めにご相談ください。
気になる方は診察時にお声がけください。
更新履歴
初回公開:2026年9月23日
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