緑内障で使えない薬

緑内障と診断されたかた/高眼圧症を指摘されているかたには、禁忌薬(使えない薬・飲めない薬)があります1

眼科以外の診療科の受診や、検査・手術の際にも尋ねられることがあります。

実際は、ほとんどの方が問題ありません。

緑内障を指摘されている多くの方は「開放隅角緑内障」です。
この場合は、禁忌となりません。

「閉塞隅角緑内障」であるかどうかが重要です2
(へいそくぐうかくりょくないしょう)

開放?閉塞?
目の中の水の通り道「隅角」の状態で判断します:

スリットランプ顕微鏡:細くした光を、斜めに当てます。目の中の水の通り道「隅角」の深さを判定します。

開放隅角と閉塞隅角の間の状態が、「狭隅角」です。
狭隅角も、自覚症状はありません。

診察でお話されても、自分の状態を覚えておくのは大変ですね。
お薬や検査、手術等に差し支えがないのかどうか、
小さなカードをお渡しして、お薬手帳に貼っていただくようにしました。

眼圧
目次

緑内障で使えない薬

緑内障の分類

緑内障(高眼圧症)は、目の構造から大きく2つに分類されます。

1. 開放隅角緑内障

○ 原発開放隅角緑内障(広義)
○ 正常眼圧緑内障
○ 高眼圧症
○ 前視野緑内障
多くの方が該当します。
下記の薬の使用制限はありません。

2. 閉塞隅角緑内障

○ 原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma)
○ 原発隅角閉塞症(primary angle closure glaucoma)
○ 原発閉塞隅角緑内障疑い(primary angle closure glaucoma suspect)

気をつけることは、自分が「目がいい」のかどうかを知っておくことです。

「目がいい」かたは、遠視眼であることが多い:
上記の狭隅角の状態になっている可能性もあります。
(=目の中の房水の通り道が、相対的に狭くなっている)

下記の薬を使用した場合、眼圧が上がり急性緑内障発作をきたすことがあります。
* 必要に応じて、前眼部OCTを用いた経過観察をおこなっています。

細隙灯顕微鏡、隅角鏡検査にて分類します。

その他、

3. 続発緑内障

○ ぶどう膜炎にともなう緑内障
○ 白内障・硝子体・角膜移植手術後の緑内障
ステロイド緑内障
○ 糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症にともなう血管新生緑内障

4. 小児緑内障

以前は「発達緑内障」と呼ばれていた疾患です3

全ての緑内障について、分類をカルテに記載しています。
不明な点は、いつでもお尋ねください。

閉塞隅角緑内障禁忌と記載のある薬剤(飲んではいけない薬)

✔ 抗コリン作用・交感神経刺激作用など 
 閉塞隅角緑内障禁忌と記載のある薬剤(飲んではいけない薬)
○ 感冒薬
○ 鎮痛薬
 ロキソニン・カロナール
○ 鎮咳薬
○ 抗ヒスタミン薬
○ 鎮暈薬
○ 消化性潰瘍薬(鎮痙薬)
○ 排尿障害治療薬
○ 気管支拡張薬
○ 抗不整脈薬
○ 狭心症治療薬(硝酸薬)
○ 低血圧治療薬
○ 抗パーキンソン薬
○ 抗てんかん薬(BZ系)
○ 抗不安薬
○ 抗うつ薬
○ 催眠鎮静薬
○ ナファゾリン点眼(プリビナ点眼・アイブースター)
 など

[緑内障の進行判定]
ハンフリー静的視野検査をおこなっています(Humphrey Field Analyzer, HFA)。
(必要な方にはゴールドマン動的視野検査をおこなっています)
開院後1年すぎた今は、3回分のデータをお話できるようにもなってきました。
開院間もなくまだ5回に至ってないですが、今後も進行解析の説明もできるようにしています。5回分のデータが揃うと、VFI(Visual field index)による進行解析が可能になります4
10年後、20年後、またお若い方では30年後の視野まで予測するツールです。

1. 緑内障診療ガイドライン(第4版) 日眼会誌122:5-53,2018
2. Glaucoma contraindication for anticholinergics reviewed in Japan, 2019. . Reactions Weekly 1762, 2–2. https://doi.org/10.1007/s40278-019-64741-z
3. World Glaucoma Association: Childhood Glaucoma. In:Weinreb RN, et al(Eds):The 9th Consensus Report of the World Glaucoma Association. Kugler Publications, Amsterdam, 1- 270, 2013.
4. Chauhan, B.C., Garway-Heath, D.F., Goni, F.J., Rossetti, L., Bengtsson, B., Viswanathan, A.C., Heijl, A., 2008. Practical recommendations for measuring rates of visual field change in glaucoma. British Journal of Ophthalmology 92, 569–573. https://doi.org/10.1136/bjo.2007.135012


HMV&BOOKS online 1号店
¥880 (2024/11/19 13:10時点 | 楽天市場調べ)
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次