日本初の近視進行抑制点眼薬が承認されました
2025年4月21日、日本で初めて近視進行抑制を目的とした点眼薬「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」(参天製薬)が発売されることとなりました。

この薬剤は2024年12月27日に厚生労働省の承認を受けた医療用医薬品です。
特に、進行しやすい小児期の近視に対する新たな治療選択肢となります。
2025年3月18日 参天製薬 プレスリリース
近視の進行抑制を目的とする日本初の点眼剤「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」発売のお知らせ
https://www.santen.com/ja/news/2025/2025_1/20250318
これに伴い、2025年4月11日に日本眼科医会から通達がありました。
低濃度アトロピン点眼液による近視進行抑制治療を行う際の注意点(日本眼科医会 社会保険 総務企画)
- 保険診療との併用禁止 – 近視に対する治療は、検査から処方まで全て自由診療となり、同一疾患に対して保険診療と自由診療を併用することはできない
- 診療録の分離管理 – 保険診療と自由診療のカルテは完全に分けて管理する必要があり、電子カルテの場合は患者番号を分ける
- 眼鏡・コンタクトレンズ処方の取扱い – 低濃度アトロピン点眼液による治療中は、眼鏡やコンタクトレンズの処方も自由診療となる
- 副作用への対応 – 低濃度アトロピン点眼液の副作用(充血など)に関する治療も自由診療となる
- 説明と同意の取得 – 治療開始前に診断内容、治療内容、費用、頻度、副作用の可能性などを詳しく説明し、未成年の場合は本人と保護者の同意書取得が必要
以上を踏まえて、当院の対応についても記載しました。
(価格調整中:近日中更新します)
大事なこと:
低濃度アトロピンのみが近視抑制の方法ではありませんが、
近視抑制の目的で低濃度アトロピン点眼を行う場合は、自由診療に移行する必要があるということです。
小児の近視について、2018開院時より記載を続けています:


リジュセア®ミニ点眼液0.025%:近視進行治療の対象と効果

リジュセア®ミニ点眼液0.025%は低濃度のアトロピン硫酸塩水和物を含有し、小児の近視進行を抑制する効果が確認されています。
近視は一度進行すると元に戻ることがありません。早期からの対策が重要となります。
本治療は、近視の進行を抑えることを目的としています。
ただし、完全に近視の進行を止めることはできません。
また、この治療は”視力を回復” させるものでもありません。
近視の程度に応じて、眼鏡等での視力矯正が別途必要となります。

自由診療について

重要なお知らせ:
この治療は現在保険診療の対象外であり、自由診療(全額自己負担)となります。
日本眼科医会の指針に基づき、以下の点にご留意ください。
自由診療に関する重要事項
- 保険診療との併用不可:近視に対する治療は、検査から処方まで全て自由診療となります。同じ疾患に対して保険診療と自由診療を併用することはできません。
- 眼鏡・コンタクトレンズ処方も自由診療:近視進行抑制治療中は、眼鏡やコンタクトレンズの処方も自由診療の対象となります。
- 別疾患の治療:アレルギー性結膜炎など近視とは無関係の疾患については、保険診療が可能です。ただし、診療録や会計は明確に区分されます。
- 副作用への対応:低濃度アトロピン点眼液の副作用(充血など)に関する治療も自由診療となります。
保険診療と自由診療の違いについて、わかりやすい説明文を作成いたします。
保険診療と自由診療の違い
保険診療と自由診療には、手続き、費用負担、適用範囲など多くの点で重要な違いがあります。
基本的な違い
保険診療は健康保険法などの医療保険各法に基づき、保険者(健康保険組合や市町村など)と医療機関の間で行われる公的な契約診療です。患者さんは医療費の一部(通常1〜3割)を負担し、残りは保険者が負担します。一方、自由診療は医療機関と患者さんの間の直接契約に基づく診療で、医療費は全額患者さんの自己負担となります。
治療内容の制限
保険診療では、厚生労働省が認めた検査・治療・薬剤のみが使用でき、それらの点数や使用条件も厳格に定められています。
対して自由診療では、保険適用外の薬剤や治療法も含め、より幅広い選択肢から患者さんに最適な治療を提供することが可能です。
リジュセア®ミニ点眼液0.025%の場合
リジュセア®ミニ点眼液0.025%による近視進行抑制治療は、現時点では保険適用外のため自由診療となります。そのため、診察から処方まで全ての費用が自己負担となり、眼鏡やコンタクトレンズの処方も含めて保険診療との併用はできません。ただし、近視とは無関係の疾患(アレルギー性結膜炎など)については、適切に区分することで保険診療が可能です。
自由診療の場合、費用設定は医療機関により異なります。
治療内容や費用は事前に十分な説明を受け、同意した上で開始することが重要です。
リジュセア®ミニ点眼液0.025%:治療の流れと費用

日本眼科医会の通達に準拠した費用設定で、リジュセア®ミニ0.025%による近視進行抑制治療を提供することとしました。
予約は必要ありません。
治療の流れ
- 初回受診:通常の保険診療で近視の状態を評価します。初回の眼軸長測定も行います。
- お試し期間(ご希望に応じて):リジュセア®ミニ0.025%を1本(価格未定)でお試しいただけます(保険診療の別日に購入)。
- 治療開始(自由診療):治療の詳細な説明と同意書取得を行います。
- 定期フォロー:1ヶ月後に来院いただき、その後は3か月ごとの定期受診となります。当日までの眼軸長伸長のグラフをお渡しします。



費用について
(準備中)

患者さんへの説明と同意
治療開始にあたり、
以下の事項について詳しくご説明・ご同意いただくようにしています:
- 診断内容(近視の状態)
- 治療内容、費用、頻度
- 治療に伴う副作用の可能性
- 他の治療選択肢とその内容
未成年の患者さんの場合は、本人と保護者の同意が必要となります。
安全かつ適切な治療のために
リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、医師の処方のもとで適切に使用する必要があります。
自己判断での使用や処方された用法・用量以外での使用は避けてください。
また、日本眼科学会・日本近視学会・日本眼科医会では、将来的に保険診療との併用が可能となるよう要望が提出されています。制度変更があれば随時お知らせいたします。
低濃度アトロピン点眼液による近視進行抑制治療 – よくある質問 (FAQ)

治療に関する質問
Q1: リジュセア®ミニ点眼液0.025%はどのような薬ですか?
A: リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、参天製薬から発売された日本初の近視進行抑制を目的とした点眼薬です。低濃度のアトロピン硫酸塩水和物を有効成分としており、小児の近視進行を抑制する効果が確認されています。
Q2: どのような患者さんが治療の対象になりますか?
A: 主に進行性の近視を持つ小児が対象となります。特に近視が進行している、または進行するリスクが高いお子さんに適しています。詳細な適応については診察時に医師がご説明します。
Q3: 治療効果はどのくらいで現れますか?
A: 近視の進行抑制効果は個人差がありますが、一般的には継続的な使用が必要です。治療効果の評価は定期的な診察と検査によって行われます。
Q4: 副作用はありますか?
A: 主な副作用として、瞳孔拡大、調節障害(近くを見づらくなる)、まぶしさ、結膜充血などが報告されています。他に、視力障害、頭痛、眼瞼湿疹が起こることが報告されています。
低濃度製剤のため副作用は比較的軽度ですが、気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
またリジュセア®ミニ点眼液0.025%治療を途中で中断すると、近視が速く進行する可能性(近視進行のリバウンド)があります。
Q5: 治療はいつまで続ければよいですか?
A: 近視の進行は主に成長期に著しいため、多くの場合、成長が落ち着く時期まで継続することが推奨されます。具体的な治療期間は個々の患者さんの状態に応じて医師が判断します。
保険・費用に関する質問
Q6: なぜ保険診療ではなく自由診療になるのですか?
A: リジュセア®ミニ点眼液0.025%は厚生労働省から近視進行抑制という効能で承認されていますが、現在の健康保険制度では保険適用の対象外となっているためです。
日本眼科学会、日本近視学会、日本眼科医会から保険外併用療養費制度の対象となるよう要望が提出されていますが、現時点では全額自己負担の自由診療となります。
Q7: 治療にかかる費用はどのくらいですか?
(準備中)

Q8: 他の疾患で保険診療を受けている場合、同日に近視治療も受けられますか?
A: 近視とは無関係の疾患(例:アレルギー性結膜炎)については、保険診療を受けることが可能です。ただし、診療録、検査、処方、会計は明確に区別する必要があります。
なお、低濃度アトロピン点眼液の副作用(充血など)に関連する症状は自由診療での対応となります。
Q9: 治療を中断した場合、通常の保険診療に戻ることはできますか?
A: 低濃度アトロピン点眼液による治療を中止した場合、翌日以降は保険診療に戻ることが可能です。
ただし、短期間で中止と再開を繰り返すことは適切ではありません。
治療の実際に関する質問
Q10: 点眼薬はどのように使用すればよいですか?
A: 通常、就寝前に1日1回、両眼に1滴ずつ点眼します。
Q11: 治療中に眼鏡やコンタクトレンズの処方は可能ですか?
A: 治療中の眼鏡やコンタクトレンズの処方も自由診療の一環として行います。保険診療での眼鏡・コンタクトレンズ処方は、低濃度アトロピン点眼液での治療中は不可となります。
Q12: 学校検診で視力低下を指摘された場合の検査は保険診療になりますか?
A: 低濃度アトロピン点眼液による近視進行抑制治療中の場合、学校検診後の検査も自由診療となります。
Q13: 低濃度アトロピン点眼液は家庭でどのように保管すればよいですか?
A: 室温保存可能ですが、直射日光を避け、小児の手の届かない場所に保管してください。開封後は指示された期間内に使用してください。
Q14: 定期受診の間隔はどのくらいですか?
A: 当院では治療開始1ヶ月後に最初のフォローアップを行い、その後は3ヶ月に1回の定期受診と、年に1回の詳細検査(視力・眼軸長測定・細隙灯顕微鏡検査など)を行います。症状や経過に応じて、医師が適切な間隔を設定することもあります。
その他の質問
Q15: 治療開始前に必要な検査はありますか?
A: 治療開始前には、視力検査、屈折検査、眼軸長測定、眼底検査などが必要です。場合によっては角膜形状解析などの追加検査を行うこともあります。初回の保険診療で行う検査です。
Q16: 治療を始める前に同意書への署名は必要ですか?
A: 未成年の患者さんの場合は、本人(同意能力がある場合)と保護者の同意書が必要です。治療内容、費用、副作用などについて十分な説明を受けた上で同意していただきます。
Q17: 他院で同様の治療を受けていた場合、継続して当院で治療を受けることはできますか?
A: 可能です。他院での治療内容や経過についての情報があると、よりスムーズに治療を継続できます。
Q18: マイオピン®などの自家調製の低濃度アトロピン点眼液との違いは何ですか?
A: リジュセア®ミニ点眼液0.025%は厚生労働省の承認を受けた医療用医薬品であり、品質、有効性、安全性が保証されています。自家調製の点眼液と比較して、濃度や品質が安定しているという利点があります。
基剤の調整により、前眼部(虹彩・毛様体)の影響を少なくして後眼部(強膜)の移行は増やすようになりました。羞明(眩しさ)を軽減して、眼軸長伸展の効果は大きくなる特徴があります。
Q19: 近視進行抑制のための他の方法と併用できますか?
A: アウトドア活動の増加、近業時間の制限、適切な照明環境の確保などの生活習慣改善は併用が推奨されます。オルソケラトロジーなど他の医療介入との併用については、医師にご相談ください。
Q20: 治療効果はどのように評価されますか?
A: 定期的な視力検査、屈折検査、眼軸長測定などを通じて、近視の進行状況を評価します。一般的に眼軸長の変化が最も重要な評価指標となります。